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2018年7月29日 (日)

知識以前性 池田修教授と対話して気づいたコト

★先日、石川一郎先生に誘われて、池田修教授(京都橘大学)と対話する機会を頂いた。3人とも共通するのは、「思考コード」におけるC軸思考を大切にしているということだった。池田教授は、地域の文化及び生活としての日本酒の背景の広さと深さについて話し始めた。

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(写真はAmazonから。アクセスはコチラから。

★私たちは、いつしか、このような目の前のモノについて、その生まれた場所の自然の様子や人々の多様な生き方、そのモノを創造する情熱や荘厳さ、モノを介して悲喜こもごもの多様な人生があることを豊かに対話することをやめてしまった。

★池田教授は、それを取り戻すかのように豪快にかつ繊細に語った。対話とはこうやって根源的な淵に私たちを引き戻す。その根源が生まれる以前がそこにあるところまで連れていく。

★ミヒャエル・エンデのモモではないが、このような対話は時間泥棒によって盗まれている。それゆえ、池田教授は、上記写真の本の中で、教育はビジネスではないというのだろう。

★もちろん、ここで語られているビジネスの意味は、20世紀の強欲資本主義のことで、21世紀社会が模索している正義の資本主義ではない。池田教授は、C軸思考を大切にしている。つまり創造性であり、イノベーションを大切にしている。

★この力が最も発揮できる経済という生活世界はある意味正義の資本主義である。この人類の人生を創出する理想の資本主義につながる教育を生み出すのは、教師である。池田教授は、生徒一人ひとりの才能に蓋をせず、蓋を外すC軸思考の教師を育成している。

★そのような思考の話が、クロード・レヴィ=ストロースの「野生の思考」にぴょんと飛んだ。対話は盛り上がった。殊の外、石川一郎先生は、「野生の思考」という言葉を気に入られたようだった。

★池田教授の対話に誘発されて、返歌よろしく、同じような対話の構造で、言葉の起源と野生の思考の文脈をルソーやソシュール(丸山圭三郎)、レヴィ=ストロースを持ち出して語ってみた。

★そうこうしているうちい、そのような対話の構造が、そのまま小学校低学年の漢字の学習の話にシフトした。それはA軸思考の領域でありながら、いきなりC軸思考にジャンプする話だった。知識と創造的思考が直結する話だった。

★そして、その対話は、プチワークショップに発展し、ますます盛り上がった。短時間で一気に飲んでいたので、記憶が薄れているが、最後は石川一郎先生と「A・P・O・命」と合唱していたのを憶えている。とにも、上記写真の池田先生の著書の第7章の授業に関する話が、飛び出てきた感じで、この第7章だけで、一冊の本が編集できてしまうような勢いだった。

★6月23日の「慰霊の日」の沖縄全戦没者追悼式で、沖縄県浦添(うらそえ)市立港川中学校3年相良倫子(さがらりんこ)さん(14)が読んだ平和の詩「生きる」は、今や大反響であるが、当日相良さんは、緊張のあまり、大切な一節を飛ばしてしまったという。その一節とは、「頭じゃなくて、その心で」だった。

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★まさしく、大切なところだからこそ、当日は忘却されて、その事実が永遠に語り継がれる。A軸思考が、「頭じゃなくて、その心で」というアプローチをするや、既存の知識が、知識以前性として、イマジネーションの翼を身に着ける。知識が生まれるその根源の淵に飛んでいける。

★今、若手アーティストたちの間で、思考と世界を分断するのではなく、直結しようというムーブメントがある。カントやヘーゲル、ヴィトゲンシュタインやハイデッガーを乗り越えようとしている、これまた若手哲学者のリーダーであるカンタン・メイヤスーの生み出す祖先以前性の世界に飛び立っている。

★私たちは、まだまだ20世紀合理主義的制度の箱の中にいる。その箱を突き破って向こうにある世界に飛び立つキーは授業を生み出す教師の手にある。

★池田教授の挑戦はそのキーを若い教師と共有しようということなのかもしれない。教育という制度、学校という制度を変えるのは時間がかかるが、教師と教師がマネジメントする学級のマインドセットは、すぐにもできる。

★池田教授も、「人類の子供たち」の才能の翼を守るヒューマンプロジェクトのメンバーだったのである。

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