第56回東北地区私学教育研修会開かれる 教師の質の時代
★平成30年度の私立高校の補助金は、1034億円。前年対比101.2%。経済協力開発機構(OECD)は今年5月30日、2018年の日本の実質経済成長率が1.2%になると見通しを立てているから、連動しているのかと思うかもしれない。
★しかし、これは日本私立中学高等学校連合会会長として吉田先生が、ち密なデータをもとに、政財界と掛け合った結果でもある。吉田先生が相手にするその集団は伏魔殿のごとしで、手ごわい。
★しかし、吉田先生は私立小学校・中学校・高等学校が、教育面での貢献度のみならず、経済領域でも大いに貢献していることを証明しながら掛け合うわけである。この掛け合いがなければ、私学は金持ちの子弟が通うわけだからという憶測で、減らされてしまいかねない。自治体によっては、そのようなところも実際にある。
★それゆえ、このような研修会で、私学の先生方のマインドセットを行い、多方面での教育活動における教師力を高める講演やワークショップを、全国の私学協会と協力して行っているわけである。
★吉田先生が提供した膨大なデータの中で、「平成27年度高等学校(全日制)生徒一人当たりの学校教育費に対する公費支出の公私比較(試算)」というデータがおもしろい。このデータによると、もし今の全国私立学校に公立同様今の補助金以外の費用を助成するとしたら想定必要公費はどうなるかが都道府県別で一覧できるようになっている。
★全国では、およそ7000億円だ。現状の補助金の約7倍になる。つまり、年間高校だけで、税金以外に6000億円の経済循環が生まれているのである。
★教育を通して経済を活性化させることに貢献しているわけだ。どう考えても私立学校の市場をフリーズさせるような政策は避けたほうが良いとなるわけだが、文科省や教育委員会はどうしても公立を保守してしまう。したがって、日本私立中学高等学校連合会や各都道府県の私立中学高等学校協会が、一丸となって掛け合わなければならないのが私学の現状である。
★それゆえ、私学は3ポリシーを整え、教育の質を向上し、大学合格実績を出せなばならない。ただ、私学は高邁な建学の精神があり、その精神をもとに創設者が寄付行為によって設立した組織である。
★塾・予備校のように大学合格実績のために、教育の質ではなく、合格プログラムを合理的効率よくやればよいというわけではない。それは清涼で癒される森のような場である。しかし、その自然林は、簡単に開発によって荒廃してしまう。
★この教育の森をいかに保守するのか、私立学校関係者一丸となろうと吉田先生は呼び掛けるわけである。
★ところが、この教育の森はビジネスになるのではないかという切り口でアプローチする組織が現れた。今までも学校支援のための市場はあった。典型的なのは受験市場だ。もちろん、受験競争を煽り、偏差値至上主義という極端な現象も生んでいるが、基本は学校の生徒募集活動の支援の契機になってきた。
★ところが、学校自体を利益を生むビジネス組織にしよという動きである。あるいは、多くの企業がビジネスを獲得する場として利用しようという動きだ。
★今回の研修会が行われたのとちょうど同じ日、2つの団体が立ち上げ発表をした。1つは、経産省による≪「未来の教室」プラットフォーム キックオフイベント≫だった。
★経産省は、もちろん、学校組織をビジネスの場にしようというわけではないが、たとえば私立高校で6000億円動いているなら、それを有効活用するビジネス団体に多少投資しようというわけだ。もちろん、それ以上のお金が公立高校では動いている。
★しかも、このビジネス団体はICT企業やグローバル企業、NPOが多くなるだろうから、市場は世界に広がる。とにかくこれらの団体は、基本はモビリティがコンセプトだから、移動インフラを使う。インフラは、物理的インフラにしてもバーチャルインフラにしても、周辺商品が売れる。生徒というか保護者という消費者は、学校に関する周辺商品にお金を出す。
★この周辺商品が、学校関係の仕事から派生しているのだけれど、遠のくにつれ、学校は関係なくなるから、商売がし易くなる。
★学校は楽しくなり、役に立つ学びが展開され、おまけに経済も活性化するからこんなによいことはない。
★しかし、この経産省の経済原理は20世紀型資本主義経済である。このシステムを変えたというコトを聞いたことがない。ところが特に私立学校は、はじめから21世紀型資本主義経済である。20世紀型資本主義経済は、強欲資本主義で一握りの団体が限りなく利益を稼ぐ格差原理で動いている。
★ところが、私立学校は、配分の正義をベースにする公正的資本主義である。しかも、教育の質向上に拠って、お金そのものを生み出すのではなく、創造的才能が育つ未来への投資を行っているのである。大事なことは、生徒1人ひとりの創造的才能。この才能が未来を生み出すのである。決していまここでお金を生み出すわけではないのである。
★それから、もう一つの記者会見は、ホリエモンの「ゼロ高」の立ち上げである。ホリエモンは、高校が利益を生む場として機能すればよいと考えている。生徒1人ひとりに適合した才能を生かす仕事を未来にではなく、いまここで見出そうというアクティブな学びの追究である。
★ホリエモンは、N学園立ち上げにも協力しているから、広域制通信制高校が、7000人も生徒として抱えることができることを知ったのである。
★しかも「ゼロ高」は、通信制高校のサポート校である。学費を通信制高校の費用以外に100万以上とるわけである。しかし、ホリエモンに言わせれば、座学だけやっている全日制高校で、結局自分のやりたいことがわからないまま大学にいって、やっぱり何をやるのかわからなく、自分で人生の選択肢を作ることがなかなかできない現状であるばらば、先に投資してしまったほうがよいのだと。
★経産省が元締めなのか、ホリエモンが元締めなのか、表層は違うが、学校を利益組織に変えようという構造は同じである。
★経産省が、ホリエモンと違うというか隠していることが一つある。学校というのは、教師の人件費の比率が高すぎる。それゆえ、1人ひとりの教師のレベルが高くないとコスパが悪い。
★ホリエモンは、ゼロからだから、英語もできてICTも当然で、何より一芸に秀でた優秀な教師を雇用するだろう。一人で多彩な能力があるならば、同じ給料でも何倍もの仕事ができる。いわゆる高度人材だ。あとは、ホリエモンのネットワークを結び付ければよいわけだ。
★経産省の場合、そのような教師を雇うわけにはいかない。あくまでもネットワークをつなぐだけだ。いやっ、そこが違うのだ。経産省や財務省は、文科省にいずれ圧力をかけるだろう。もっと教師の合理的な仕事環境を作れと。人件費をかけないでできる方法を考えよと。
★昨今の一連の文科省の不祥事は、経産省にとっては格好のチャンスなのである。サッチャーーブレアークリントンがやってのけた、「教育、教育、そして教育」で経済を活性化させるという政策をやれるぞと。
★つまり、今回の未来の教室の本当の目的は教師という職業のパラダイム転換を迫る動きでなのである。できないなら、もっと良い人材を送り込むぞと。
★今の文科省では、この動きに耐えきれないかもしれない。しかし、それでは強欲資本主義を創造的資本主義に転換できる教師がいなくなくなる。
★そこで、吉田先生が、私立学校が一丸となって、教育の森を守ろうとエールをおくっているわけである。
★さて、どのような価値がよいのか、それは市場が決めることである。いずれにしても、教育の質は、教師の質であるということが明快になてきたのである。
★教師の質の競争。これが教育市場のキーストンであることが明らかになる時代がやってきた。
★吉田先生が提供した膨大なデータの中で、「平成27年度高等学校(全日制)生徒一人当たりの学校教育費に対する公費支出の公私比較(試算)」というデータがおもしろい。このデータによると、もし今の全国私立学校に公立同様今の補助金以外の費用を助成するとしたら想定必要公費はどうなるかが都道府県別で一覧できるようになっている。
★全国では、およそ7000億円だ。現状の補助金の約7倍になる。つまり、年間高校だけで、税金以外に6000億円の経済循環が生まれているのである。
★教育を通して経済を活性化させることに貢献しているわけだ。どう考えても私立学校の市場をフリーズさせるような政策は避けたほうが良いとなるわけだが、文科省や教育委員会はどうしても公立を保守してしまう。したがって、日本私立中学高等学校連合会や各都道府県の私立中学高等学校協会が、一丸となって掛け合わなければならないのが私学の現状である。
★それゆえ、私学は3ポリシーを整え、教育の質を向上し、大学合格実績を出せなばならない。ただ、私学は高邁な建学の精神があり、その精神をもとに創設者が寄付行為によって設立した組織である。
★塾・予備校のように大学合格実績のために、教育の質ではなく、合格プログラムを合理的効率よくやればよいというわけではない。それは清涼で癒される森のような場である。しかし、その自然林は、簡単に開発によって荒廃してしまう。
★この教育の森をいかに保守するのか、私立学校関係者一丸となろうと吉田先生は呼び掛けるわけである。
★ところが、この教育の森はビジネスになるのではないかという切り口でアプローチする組織が現れた。今までも学校支援のための市場はあった。典型的なのは受験市場だ。もちろん、受験競争を煽り、偏差値至上主義という極端な現象も生んでいるが、基本は学校の生徒募集活動の支援の契機になってきた。
★ところが、学校自体を利益を生むビジネス組織にしよという動きである。あるいは、多くの企業がビジネスを獲得する場として利用しようという動きだ。
★今回の研修会が行われたのとちょうど同じ日、2つの団体が立ち上げ発表をした。1つは、経産省による≪「未来の教室」プラットフォーム キックオフイベント≫だった。
★経産省は、もちろん、学校組織をビジネスの場にしようというわけではないが、たとえば私立高校で6000億円動いているなら、それを有効活用するビジネス団体に多少投資しようというわけだ。もちろん、それ以上のお金が公立高校では動いている。
★しかも、このビジネス団体はICT企業やグローバル企業、NPOが多くなるだろうから、市場は世界に広がる。とにかくこれらの団体は、基本はモビリティがコンセプトだから、移動インフラを使う。インフラは、物理的インフラにしてもバーチャルインフラにしても、周辺商品が売れる。生徒というか保護者という消費者は、学校に関する周辺商品にお金を出す。
★この周辺商品が、学校関係の仕事から派生しているのだけれど、遠のくにつれ、学校は関係なくなるから、商売がし易くなる。
★学校は楽しくなり、役に立つ学びが展開され、おまけに経済も活性化するからこんなによいことはない。
★しかし、この経産省の経済原理は20世紀型資本主義経済である。このシステムを変えたというコトを聞いたことがない。ところが特に私立学校は、はじめから21世紀型資本主義経済である。20世紀型資本主義経済は、強欲資本主義で一握りの団体が限りなく利益を稼ぐ格差原理で動いている。
★ところが、私立学校は、配分の正義をベースにする公正的資本主義である。しかも、教育の質向上に拠って、お金そのものを生み出すのではなく、創造的才能が育つ未来への投資を行っているのである。大事なことは、生徒1人ひとりの創造的才能。この才能が未来を生み出すのである。決していまここでお金を生み出すわけではないのである。
★それから、もう一つの記者会見は、ホリエモンの「ゼロ高」の立ち上げである。ホリエモンは、高校が利益を生む場として機能すればよいと考えている。生徒1人ひとりに適合した才能を生かす仕事を未来にではなく、いまここで見出そうというアクティブな学びの追究である。
★ホリエモンは、N学園立ち上げにも協力しているから、広域制通信制高校が、7000人も生徒として抱えることができることを知ったのである。
★しかも「ゼロ高」は、通信制高校のサポート校である。学費を通信制高校の費用以外に100万以上とるわけである。しかし、ホリエモンに言わせれば、座学だけやっている全日制高校で、結局自分のやりたいことがわからないまま大学にいって、やっぱり何をやるのかわからなく、自分で人生の選択肢を作ることがなかなかできない現状であるばらば、先に投資してしまったほうがよいのだと。
★経産省が元締めなのか、ホリエモンが元締めなのか、表層は違うが、学校を利益組織に変えようという構造は同じである。
★経産省が、ホリエモンと違うというか隠していることが一つある。学校というのは、教師の人件費の比率が高すぎる。それゆえ、1人ひとりの教師のレベルが高くないとコスパが悪い。
★ホリエモンは、ゼロからだから、英語もできてICTも当然で、何より一芸に秀でた優秀な教師を雇用するだろう。一人で多彩な能力があるならば、同じ給料でも何倍もの仕事ができる。いわゆる高度人材だ。あとは、ホリエモンのネットワークを結び付ければよいわけだ。
★経産省の場合、そのような教師を雇うわけにはいかない。あくまでもネットワークをつなぐだけだ。いやっ、そこが違うのだ。経産省や財務省は、文科省にいずれ圧力をかけるだろう。もっと教師の合理的な仕事環境を作れと。人件費をかけないでできる方法を考えよと。
★昨今の一連の文科省の不祥事は、経産省にとっては格好のチャンスなのである。サッチャーーブレアークリントンがやってのけた、「教育、教育、そして教育」で経済を活性化させるという政策をやれるぞと。
★つまり、今回の未来の教室の本当の目的は教師という職業のパラダイム転換を迫る動きでなのである。できないなら、もっと良い人材を送り込むぞと。
★今の文科省では、この動きに耐えきれないかもしれない。しかし、それでは強欲資本主義を創造的資本主義に転換できる教師がいなくなくなる。
★そこで、吉田先生が、私立学校が一丸となって、教育の森を守ろうとエールをおくっているわけである。
★さて、どのような価値がよいのか、それは市場が決めることである。いずれにしても、教育の質は、教師の質であるということが明快になてきたのである。
★教師の質の競争。これが教育市場のキーストンであることが明らかになる時代がやってきた。
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