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2018年7月28日 (土)

進化する21世紀型教育 第56回東北地区私学教育研修 21世紀型教育部会

★昨日(26日)から「第56回東北地区私学教育研修」は開催されているが、27日本日は分科会。6つの部会があるが、平方校長と私は21世紀型教育部会で、ワークショップ型講演を行った。テーマは、「進化する21世紀型教育~2020年大学入試改革が求める英語力と思考力を出発点として」。

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★平方先生は、棟方志功と寺山修司の話題からはいった。東北の地での研修だから、縁の人物から始めたのであるが、なぜ21世紀型教育に20世紀の人物を。それは、21世紀型教育というのは、まったく新しい発想ではなく、20世紀にいたアーティストや思想の発想を一部芸術家や思想家のものから、生徒1人ひとりが生み出せる学びを創り出そうということを示唆しているのだという切り口。

★あのジョブスも、アップル社に返り咲いたとき、アインシュタイン、マリア・カラス、フランク・ロイド・ライト、バックミュンスター・フラーなど数多くの天才をシンプルに並べ立てて映像化した広告≪Think Different≫を作成した。

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★いったいアップルは何者なのかをアピールするためである。世界を変えて、未来を生み出す天才たちの共通の構造を画像で表現し、アップルも彼らと同じように世界を変えるほどクレージーなのだと。

★平方先生も、21世紀型教育とは何者なのか?棟方志功や寺山修司のように殻を破り世界を変える人材を輩出する教育なのだと。

★そして、未来はどうなっているのか、今話題のディンタースミスの制作したビデオを共有し、このような未来に生徒たちが世界を変え未来を生み出す準備をしようというコンセプトのシェアリングからワークショップは始まったのである。


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★今、21世紀型教育は、C1英語、PBL(プロジェク型学習)授業、ICTによるカリキュラムマネジメント、哲学×STEAMというリベラルアーツの現代化を実現している。その実現の程度は学校に拠って多様だが、首都圏の私立中高一貫校だと40%くらいはその方向で動いている。


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★20世紀型教育で行こうが21世紀型教育で行こうが、それは選択の自由であるが、今12歳の小6の生徒たちは、「人類の子供たち」で、このまま世の中がマイナーチェンジで進めば、間違いなく、2040年に34歳になったときに、日本の国力を支えるのに、今の34歳の人材の2倍以上働かなくてはならない。働き方改革や大学入試改革では、とてもでないが、間に合わないのである。

★したがって、21世紀型教育を実践しています程度では、「人類の子供たち」がサバイブできる準備をすることができない。21世紀型教育はもっと進化しなくてはならないというのが現実なのである。

★では、それはいかにしたら可能なのかは、生徒自身が、きちんと世界標準の基準(クライテリア)を認識して、自分の英語力や思考力が、世界のどのあたりまで通用するのか見極められるようになれるように、グローバル教育×STEAM教育を準備したほうが良いという講演だった。

★テーマ自体はわかりやすいが、そのクライテリアについて、実感し共感共有しながら進めるために、レクチャーの合間にワークショップを挿入していった。

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★そのクライテリアは、極めて重要であるが、英語をはじめとする多言語の共通モノサシがCEFRである。実はこのCEFRは、言語で思考を促進する基準でもある。しかし、そこに気づくには、日本の教育ではまだ時間がかかるが、CEFR基準をグループワークで、モニタリングしながら図や絵に変換し、各チームごとプレゼンし、相互にフィードバックし合うことによって、気づきが生まれる可能性を開いた。

★そして、もう一つの思考力のクライテリアは、首都圏模試の思考コードを例に展開。東大の帰国生入試や推薦入試を活用して、グループワークを行った。A軸、B軸、C軸という言葉は共有できた。


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★CEFRも思考コードもA軸、B軸、C軸で重なるように作ってあるのが、そこが一気呵成につながるかどうかは、今後の日本の教育の変化次第であるが、言語と思考の両側面の世界標準のモノサシをメタ認知として生徒が活用できるようになると、2040年を乗り超えられる「人類の子供たち」が巣立つのである。

★プログラミングが必要だというのは、彼らにとっては当たり前のことで、ことさら騒ぐことでもない。C1英語が必要だということも、彼らにとって当たり前のことである。PBLのような対話やディスカッションが必要なことは、やはり彼らにとって当たり前のことなのである。

★これは、少ししか確認できなかったので、ここで補っておくけれど、対話やディスカッションは、脳神経系や自律神経を鍛える。だから知的にも感性的にも豊かになるのである。つまり、Growth Mindsetできるわけでが、それだけではない。

★舌の筋肉を鍛えるのである。舌の筋肉は、全身の筋肉に影響を及ぼす。21世紀型教育のトリプルAのひとつであるActiveな脳神経系と全身の筋肉系を鍛えることになる。ただ一方的に聞いているだけだと脳と筋肉の衰退も加速するだろう。


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★研修は、ハウツーを学ぶ場でもあるので、ワークショップ自体にPBLの手法を盛り込み、その手法のリフレクションをその都度交えながら進めもした。また、手法には、学びのツールがあると、初心者でも脱技能できるので、毎年新しい学びのツールも紹介する。


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★今回は、聖学院の内田先生に紹介していただいて、マイブームのRC(リフレクションカード)を使って、全体を通してのリフレクションも行った。いずれは、これに井庭教授の対話のパターンランゲージを組み合わせたいと思っているが、今回はそこまで時間がなかった。


★Growth Mindsetをだれでもができるよういなるには、対話のトレーニングとそのクライテリアであるCEFRや思考コードの共有ができることであり、それは体験主義からの脱却でもある。もちろん、体験は大事である。しかし、それは対話によってリフレクションをすることで、モチベーションが持続する。


★もし、基準を生徒が共有できなければ、その持続は教師からの抑圧によって牽引され続けなければならないが、それだと「人類の子供たち」は、自分で飛べないのである。


★英語力も思考力も、何はなくても、デビッド・ボームではないが、「基準」の内蔵秩序化である。

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