2019年10月15日 (火)

必読!「令和は早慶逆転!? 大学激変の時代、そのワケは?<週刊朝日>」世界の変わり目がわかる

10月14日の「令和は早慶逆転!? 大学激変の時代、そのワケは?<週刊朝日>」の記事を読むと、世界の変わり目がわかります。世界の変化は複雑で、そう簡単に鳥瞰できないし、読み切れませんが、そういうときはある限られた領域を切り取ってみてみると、そこに変化が集約されている場合があります。

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★同記事が扱っている「大学激変の時代」はまさにそのケースにあてはまるでしょう。というのも、同記事にはこうあります。

「大学激変の時代に入った。少子化が進む中で、各大学では学生獲得に向けた改革が進む。主に偏差値を基準にした大学の序列にも変化が起きている。今後は偏差値が機能しなくなり、大学の特色から受験先を選ぶ時代もやってくると言われる。」

★しかしながら、「令和の大学序列の新潮流を緊急リポートする」と続きます。なんだやっぱり「偏差値序列」なのかと一瞬思うかもしれません。ところがそうではないのです。「令和の大学序列」とは言っていますが、「令和の大学偏差値序列」とは言っていないのです。編集者の表現選択の妙ですが、これは、いきなり大学の特色からのみ大学を選ぶ時代はまだやってきていないが、偏差値だけで選ぶ時代でもないという過渡期であることを含意しているのでしょう。

★というのも、1979年に大学共通一次試験が始まり、1990年に大学入試センターになるとともに、実は「MARCH」という偏差値序列のくくりができたのです(ある受験情報誌の編集者が造ったと言われています)が、今回は混迷を極めているけれど、大学入学共通テストに変更されることによって、大学入試改革の理念は、偏差値序列を超えて、コンピテンシーや創造的思考力をみようとしている「雰囲気」がでています。

★しかも、その「雰囲気」は、9.11以降のテロの日常化、リーマンショック以降世界が気づいたグローバル経済の一蓮托生問題、そして3.11に象徴される東日本大震災以降から急激に起こる異常気象の日常化、グローバル政治の分断化を乗り越えるサブカルチャーのグローバル化などによって、世界の政治経済は、着実に大きく変わろうとしている。その変化の変わり目が、今回の大学入試改革の「雰囲気」に反映しているのです。

★したがって、同記事で取り扱われている、「SMART」「GCH」(中身については、詳しくは同記事をご覧ください)という新たなククリは、「GMARCH]のときのように、単純に偏差値序列を基準にカテゴライズされているわけではありません。

★同記事には、記者が取材した一人として、中学受験情報誌「進学レーダー」編集長の井上修氏が登場してきていますが、このククリを創ったのは井上氏でしょう。また氏でなければできません。

★先ほども言ったように、偏差値だけではカテゴライズできないからです。このククリには、もちろん偏差値も含まれているでしょうが、井上氏のように中学受験から大学受験まで各学校、大学にきちんと足を運び取材して、それこそそれぞれの「特色」を把握している教育ジャーナリストはいないからです。さらにサブカルチャーやグローバル政治経済まで幅広い情報リサーチや文献リサーチ量は右に出る人がいないでしょう。

★そういう井上氏だからこそ、世界の変わり目を埋め込んだ「SMART」「GCH」をつくることができたのでしょう。

★大学の特色として、「グローバル関連の学部設置に力を入れている」「グローバル経済の学部に力を入れている」「海外大学との提携に力をいれている」「リベラル・アーツに力を入れている」などのアプローチで、彩られていますが、中でも注目は「リベラル・アーツ」かもしれません。

★井上氏は、このリベラル・アーツで注目している大学8つを、「リベラル8」と呼んでいます。国際教養大、東京外国語大、国際基督教大の3単科大学に、早稲田大国際教養、慶應義塾大総合政策・環境情報、法政大グローバル教養、明治大国際日本の5学部だそうです。実は、世界がどう変わろうと、AI社会にシフトしようと、新しい学問が生まれようと、その根っこうには、リベラル・アーツがあるかどうかは、重要だと言われています。

★ということは、この「リベラ8」こそ、中高のキャリア教育では見逃せない大学・学部です。そういう見方で、キャリア・デザインを構築している中高は、まだ少ないでしょう。しかし、いずれ気づいたとき、、ここから本格的に大学激変の時代はやってくるのでしょう。

★それに、専門職大学が今のところ3校しか開校していませんが、今後増えるわけです。グローバル経済のマーケットが、ビジネス×アート×学問×テクノロジーを実装した人材を欲しているからですが、従来の大学の中には、この動きについてこれなくなるところもでてくるでしょう。

★大学入試改革の混迷の背景で、着実に大学再編成の変化が起こっています。世界の動きの潮流に同期しているこの変化はもはや止めることはできません。井上氏のような教育ジャーナリストの目を追跡していくことによって、その潮流のパースペクティブを見定め、飲み込まれるのを回避することができるのです。

 

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2019年10月14日 (月)

PBLの世界(41)武蔵野大学中学校・高等学校の新設「PBLインターナショナル」の意義。

★武蔵野大学中学・高等学校は、来春から高校に「PBLインターナショナルコース」を新設します。ここでいうPBLは“Project based Learning”の略。経産省の主催する「未来の教室」のキーワードですね。インターナショナルコースといえば、すぐに英語力育成というイメージが浮かびますが、PBLを冠にいだくことによって、たんなる英語育成コースではないことが了解できます。

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★いよいよ日野田校長も改革2年目にして<PBL>を前面に出してきたということは、意義深いものがあります。まず改革1年目から、外部ネットワークとつながり多様なプロジェクトを発信してきました。中でもMITが行っている「アントレプレナーシップ研修」は、有名です。そのプログラムが<PBL>で展開されているのは、もちろんです。

★改革1年目は、おそらく合理主義者であり創造的破壊者としてイノベーターである日野田先生は、何を行うのか社会的インパクトを生みだすために、このような外部ネットワークをつかったのでしょう。学内外でなるほどという輪が広まったに違いありません。

★そして、今度は<PBL>の内製化に着手したということでしょう。主体的とか対話的とか、自律/自立したとか、社会貢献的とか、社会協調的というような能力を生かすには、座学の授業では十分ではありません。やはり<PBL>は、最適の学びの環境なのです。

★しかし、<PBL>型の授業やプログラムを今までの教師が全員できるようになるかといえば、すぐにはできないということは、多くの学校のチャレンジで了解済みでもあります。

★全員<PBL>を行えるようにするには、研修を定期的に行う必要があるし、授業リサーチが小まめに行われる必要もあります。それよりも何よりも、<PBL>を好む進歩主義派と<座学>を好む保守派との葛藤の調整が、合理主義者日野田校長としてはコストや労力がかかって、改革が遅れると判断した可能性があります。

★水都国際や三田国際のように、ほぼゼロから学校を組み立てなおす環境にあれば、教師を採用する段階で、英語能力、PBL能力、STEAM能力か哲学能力などがあることを条件とすれば、教師全員が<PBL>を行うことができるでしょう。

★しかし、既存組織を変容させながら改革をしていく場合は、そうはいきません。そこで、「PBLインターナショナルコース」それ自体、プロジェクトとして発信したのだと思います。定員60名ですから、小さく始めて、大きく育てるというセオリー通りの展開でしょう。

★では、ほかのコースは<PBL>はやらないのかというと、そうではありません。ただ、毎回PBL型授業を行うことはないという程度でしょう。それに、まだまだ保護者の方も大学進学準備教育の一環として<座学>が選ばれるのならば、特に問題視しないというのが普通でしょう。

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★東大教授のあの上野千鶴子さんのように17歳の時から座学中心の高校の授業を批判し、2002年には「サヨナラ、学校化社会(太郎次郎社)」(ちくま文庫で2008年に再発刊)で、<PBL>を思わせるアクティブな授業実践の有効性を説くような進取の気性に富んだ保護者が、たくさんいるとは統計的に思えません。

★それゆえ、60名からプロジェクトを開始しようということなのでしょう。

★しかし、イノベーター日野田校長がそこまでして戦略的に行わなければならないほどの<PBL>なのです。世界から日本を見通している日野田校長も避けて通れない<新しい学びの経験>のコアは<PBL>なのでしょう。あの苅谷剛彦教授もアクティブラーニングやPBLの有効性を論じながらも、日本の教育ではなかなか難しいと語っていますが、だからこそ価値があるのです。それゆえ、多くの私立学校は<PBL>に挑戦するのです。学校が挑戦せずして、生徒にチェンジメーカーを求めても、それでは、モチベーションは上がらないからです。<PBL>のすてきなところは、教師と生徒が共に新しい学びを創っていけることなのです。

 

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2019年10月13日 (日)

2020年からの中学入試(28)ドルトン・プランと水都国際

★遅ればせながら、マリヤン B プレキシコ氏の著書「ドルトンスクール方式」 (祥伝社 2018/10/17)を読みました。1920年代にアメリカのマサチューセッツ州のドルトンの小学校において試みられたヘレン・パーカーストの教育の理念と方法論が、ドルトン東京学園に息づくのかと思うと、胸が熱くなりました。

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★ヘレン・パーカースト自身、モンテッソーリやJ.デューイに学んでいて、そこから着想を得て実践を積み上げていったのでしょう。

★そういう意味では、国際バカロレアやHTH、日本の21世紀型教育など、根っこはいっしょです。子どもを子ども扱いせず、1人の人間としてその才能を1人ひとり開花するサポートをする学びの環境を創っていくという点では同様です。

★1920年代に子どもを子ども扱いしないというのは、今とはちょっと感覚がちがうかもしれません。甘やかすなとか子供中心主義とか、まあそういう考えもありですが、ヘレン・パーカストの時代は、「子供」の権利など認識されていませんでした。考えてみれば女性でさえ、権利の闘争をしていた時代です。

★ですから「子供」をどのようにとらえるかは、時代によって違うでしょう。そこに注目すると、本書を読んで結びついたのは、水都国際の今の教育実践でした。ここはIBのディプロマの候補校ですが、そのコースを受けるのは、30人弱でしょう。大人気の学校で、それ以外の生徒はどうするのか?とお思いでしょうが、21世紀型教育の粋を極めた教育を実施しています。

★そして、その姿は、本書が述べているドルトンスクールの理念そのものが行われていると言っても過言ではありません。IBとか21世紀型教育のようにMITメディアラボやスタンフォードやハーバードの流れを汲む教育は、J.デューイやピアジェ、レヴィ・ストロースなどの考え方の系譜にあるから当然なのかもしれません。

★もちろん、水都国際は、本書に書かれている以上にSTEAM教育の側面も色濃いですが、生徒は、1人1台パソコンをもって、英語も話し、PBLを授業で行っていくだけではなく、自分たち自身が水都国際の教育をデザインするプロジェクトを立てています。

★何より、教師一人一人も生徒と同様ICTを駆使し、全員が英語を学んでいます。<新しい学びの経験>を教師も生徒も一丸となってっ創っています。思考コードという表現を使っているかどうかはわかりませんが、太田教頭は「思考コード」を生み出してきたプロフィールもあり、そのコーディングのメガネを持っています。

★IBの構造の話を聞いても、実によく理解していて、それ以上の教育を水都国際のメンバーといっしょに考えています。

★私は、ドルトンであれ、IBであれ、MITやスタンフォード、ハーバードの系譜であれ、根っこはデューイ、ピアジェ、レヴィ・ストロースにあると思っています。つまりDPLの系譜。

★もっと言えばJ.J.ルソーです。

★ですから、PBLという授業には、この系譜がコアの部分で反映し、現代化されているかという2つの側面で見ています。その現代化の方法は、多元論です。いろいろあってよいのです。

★そして、何より重要なのは、これらの<新しい学びの経験>を創出する教師自身が、DPLの系譜でありイノベーターであるということです。水都国際は、すべての教師がそうなのです。これは生徒にとって最高の環境です。

★たいていの学校は、進歩派と守旧派は必ず存在し、革新的に進んだり、揺り戻したり、なかなか大変です。

★ドルトン東京学園の教師がすべて、DPLの系譜でイノベーターであることを期待しています。

★そうそう、<「高校教育は学問ではない」上野千鶴子が17歳の時に訴えたこと 寄稿文を発見>(週刊朝日:10/13(日) 7:00配信)で、教育ジャーナリストの小林哲夫氏が発見した53年前の上野さんの貴重な文章が掲載されています。<新しい学びの経験>とは、言うまでもなく、上野さんの描く自らを見失った高校教育ではなく、上野さんが現状から脱して欲しいと考える教育と同期しています。それにしても、上野さんの訴えから、53年経ってようやく時代は動き出したとは、社会変容の難しさとそれがゆえにイノベーター教師の価値に改めて感じいりました。

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2019年10月11日 (金)

第5回 国際バカロレア教育における小論文

第5回 国際バカロレア教育における小論文
                                    2019年10月11日(金)3時限目

ニュース)ノーベル化学賞吉野彰さんのキャリアにみる論文博士の価値0)Speed Date:感じたことを語る。
1)この記事からどんなテーマを設定するか?
・IBの10の学習者像との関係は?

アクティビティ リサーチ×ディスカッション×編集×プレゼン
どの思考スキルを活用したか?

2)課題論文のテーマを作ってみる?
・TOKと課題論文の違い。
・課題論文のガイドブック

アクティビティ リサーチ×ディスカッション×編集×プレゼン
どの思考スキルを活用したか?

比較
根拠
カテゴライズ
具体化
抽象化
置換
変換・転換
矛盾・逆説
統合
文法・計算
インプロ(Improvisationは英語のみならず創造的思考において重要な能力)

★第1回レポート提出「国際バカロレアが育成する人物像の意義」400字~800字。→メールで提出

3)評価について

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2019年10月10日 (木)

2020年からの中学入試(27)新しい女子校の可能性を2科4科の思考コード分析で考える

★新しい女子校は、新しい世界観、新しい哲学、新しいパラダイムを創る可能性が高いですね。それは男子校にも言えるのですが、何せ女性の虐げられ方は、日本ではすさまじい。それゆえ、女子校というのは、特殊現代日本の社会構造上の問題を引き受けていると考えるのは間違っていないでしょう。

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(2科4科重視型の女子校の中で、気になる女子校のデータを調べてみました。)

★女性の社会進出のあり方は、ざっくり3通りあります。1つは、パラダイムチェンジメーカー型社会進出。今までの社会制度そのものを変え、そのパラダイムチェンジメーカーとしてのリーダーシップを発揮するタイプ。これは中学入試で<新タイプ入試>を行い、授業も<新しい学びの経験>を創出している女子校がそれである。富士見丘、和洋九段女子などが筆頭でしょう。

★しかしながら、2科4科だけもしくは、2科4科を重視している女子校の場合、国語の入試問題で創造的思考を必要とする問題を出題しているところがそうです。上記の表(データは、晶文社「中学2020受験案内」から)でいえば、田園調布学園、フェリス女学院、日本女子、桜蔭、立教女学院がそうでしょう。

★2つ目は、イノベーション型社会進出。イノベーションを起こす研究者や開発者としてリーダーシップを発揮し、結果的に社会が変わっていくというタイプ。

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★これは、数学的思考を重視している女子校です。白百合、洗足学園、フェリス女学院、立教女学院、雙葉がそうでしょう。

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★3つ目は、アッパー層型社会進出。社会制度がどうあれ、その社会の中で男性と競争して、勝ち抜けばよいというアッパー層を狙うタイプ。

★2科4科の問題を思考コードで分析していみると、桜蔭、雙葉、フェリス女学院、立教女学院、白百合がそうでしょう。

★こうしてみてみると、3つのタイプすべてに顔を出しているのがフェリス女学院と立教女学院です。多様なリーダーシップが生まれる女子校だということでしょう。

★入試問題は学校の顔。その学校の先生方の知恵が反映しています。その知恵は、建学の精神も学校文化も背景に含みます。学校情報の重要のリソースです。解けるかどうかももちろん大切ですが、その学校の授業文化の質を調べるには、絶対的な資料といえましょう。ここをきちんと分析している晶文社の学校案内は必見ですね。

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2019年10月 9日 (水)

2020年からの中学入試(26)新しい女子校のランドマーク 和洋九段女子のPBL

★和洋九段女子のPBLが新しい女子校のランドマークになっています。中込校長によると、ある他の高校の生徒からインタビューを頼まれ、応じたと言います。その内容は、なぜアクティブラーニングやPBLは教育において広がらないのか?というものだったそうです。将来教師になりたいというキャリアデザインの一環として、PBlと言えば和洋九段女子だよと聞いて扉をたたいたようです。

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★未来の教師がなぜ和洋九段女子はPBLの授業を浸透させているのかリサーチに来たというのに、中込校長は驚愕したとのことです。そして、ずいぶん自分の周りでPBLに取り組んでいる仲間も増えて、PBLの時代を実感しているそうです。

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★中込先生は、化学の教科書を執筆していて、執筆仲間の論文が掲載される「化学と教育」にも寄稿しています。今回も中込校長の論文はフロントページに掲載されていますが、その仲間に当然開成の教師などもいるわけです。お互いに授業の研究もやっていて、やはりこれからはPBLだということになっているそうです。

★未来の教師にも、現役教師にも和洋九段女子のPBLはモデルになっているわけです。

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★しかし何よりも、通常授業のPBLの浸透が、ものすごい成果をあげはじめました。いや、だからこそランドマークなのでしょうが。

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★今年の中3は、SGDsスゴロクプロジェクトをつくり、SGDsを知るだけではなく、世界の政治や経済、文化など多角的に理解し、世界の問題を共有するオリジナルのスゴロクゲームを作りました。国連広報センターも巻き込んだり、中2の時から実施しているSGDsに力を入れている企業に訪問しリサーチをしてきたことなどの集大成的な試みです。もっともこれが出発点だということですが。

★ともあれ、これが、ものすごい広がりをもって展開し始めたのです。世界を変える女性が和洋九段女子には現れたのです。しかも、1人や2人ではないのです。みなそうなのです。プロジェクトチームのメンバー4人にインタビューしました。しっかりした女性でした。中3とは思えませんでした。企業とコミュニケーションをとったこの和洋九段生は、将来是非ウチにと誘われれいるほどだそうです。

★彼女たちと対話していて、グレタさんは、日本にもたくさんいるのだなあと何か希望をもらいました。インタビュー内容はいずれ21世紀型教育機構サイトに掲載します。乞うご期待。

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工学院フォーラム STEAM視点が開く新しい世界

10月27日(日)、工学院で、「第1回21世紀型STEAM教育フォーラム」が開催されます。ファシリテーターは、田中歩先生(工学院教務主任・21世紀型教育研究センターリーダー)、後藤隆宏先生(工学院国語科教諭・21STEAM教育リーダー)、福原将之氏(株式会社FlipSilverlining 代表取締役・21世紀型教育機構サポートメンバー)、そしてパネラーとして児浦良裕先生(聖学院21教育企画部長・国際部長・広報部長・21世紀型教育研究センターリーダー)も登壇します。

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★なんといっても、工学院生のファシリテーターといっしょにマイクラで世界を創るワークショップを行えるのは画期的でしょう。

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(国際コンクールのゴールドメダリストもファシリテーターとして参加)

★後藤先生によると、ICTを活用することで、頭の中で描いたものを創造することもあるが、ICTを使いながら創造物を生み出すこともあって、そこはレゴ同様セカンドブレインの作用も大きいということです。しかし、プログラミングは2つの脳を巧く活用し試行錯誤しながらもの創りにつなげていくなかなか今までにない学びがあるそうです。

★そして、このSTEAM視点とデバイスを教科授業に持ち込むことによって、たとえば、源氏物語の世界の見方が変わると言います。今回は社会の知識問題をICTを使うことによって、思考に転換してしまう世界を教科授業の中で広げてしまうということをやるそうです。

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★田中歩先生も、英語の授業でICTを使わないことはなく、ICTという「モノ」が実は世界を教室に広げる作用を認めないわけにはいかないというのです。つまり、主観が世界をつくるのではなく、客観的と思われてきたモノに眼があるわけです。主観と客観は互いに融合し合い、人間には見えない世界を授業の中で見てしまう新しい世界との接点が生まれているのです。

★ここには、「主観―客観」図式という近代哲学を脱構築する新しい哲学の発想が既にあります。まだ、日本の教育ではこの新しい哲学の必要性について気づいていません。ところが、IBを取り入れている学校では、当局が気づいているかどうかにかかわらず、来年から変わるTOKによって、この新しい哲学の視点を若干とり入れることになるでしょう。

少しずつですが、新しい世界が日本の教育にも訪れています。そんな状況の中、工学院や聖学院では、すでに訪れています。聖学院セミナーは先日終了しましたので、27日は、工学院フォーラムに参加して、新しい世界とは何か感じてみませんか。今年最後のチャンスです。

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八雲と工学院のZ世代 ラウンドスクエア国際会議で複眼思考と新しい倫理を学ぶ

★八雲学園と工学院の生徒は、インドのThe Emerald Heights International Schoolで開催されているラウンドスクエア国際会議に参加しています。そこはインド中央部のマディヤ プラデーシュ州インドールに位置します。一般に学校当局が企画する海外研修では、まずいかないでしょう。さらに、そこからバスで2時間ほど北上した、古い城下町マヘシュワールを訪れて、インドの歴史や文化そして近代化の矛盾についてフィールドワークをしたりしていますが、歴所の教科書には詳しくは載っていないでしょう。

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(写真は両校のサイトから)

★それに、ラウンドスクエアの理念であるIDEALSの1つであるService(ボランティア)も体験しています。バラザグループというチームに分かれてそれぞれ違う場所を訪問し、社会貢献活動をしたそうです。

★このバラザというチームは、世界の国からやってきた生徒で構成されるわけですから、当然、各チーム日本人は1人ということになります。

★世界50各国180校(200校ともいわれています)の代表生徒が1000人くらい集まってきて、主催加盟校の国や地域の歴史、文化、近代化の矛盾をバラザチームで議論し、主催加盟校の奉仕活動プログラムを共体験します。また自然体験プログラムも共体験します。

★ラウンドスクエアの国際会議のプログラムは、添乗員やエージェントがサポートしてくれる研修プログラムではありません。学びのゴールは世界とは何か?人間とは何か?自然とは何か?社会とは何か?矛盾とは何か?という壮大なものです。具体的なゴールは自分で決めるしかありません。

★しかもこの180余りの加盟校は、各国のエスタブリッシュ校です。もちろん、偏差値は関係ありません。世界的視野と寛容性と思考力と繊細な感性と大胆なリーダーシップだけがものをいいます。そして何よりも新しいパースペクティブをバラザで描いて共感できるかですね。

★簡単に言うと、ラウンドスクエアの生徒は、学内で哲学やTOK的視点(ラウンドスクエアはIB創設者の1人クルト・ハーンが尽力して創り出したので、親和性があります。ただ、IBのようにプログラムではなく、その学校の独自の超壮絶体験教育=アドベンチャー教育が決定的に違います)を学んでいますから、日本の教育ではマスクがかかっている最前線の哲学的な発想も身に着けています。

★工学院の生徒は、新宿キャンパスで英語による哲学授業があります。八雲学園は9カ月留学プログラムでみっちり世界観をもちろん英語で学びます。

★準備はしているのですが、それでもなかなか大変だと思います。それは当然ですし、すてきなことでしょう。ここからも、世界を変える新しい知が生まれる可能性が大です。

★ほとんどの方が、この重要性に気づくことはないでしょうが、やはり世界から眺めるパースペクティブを有している学校選びは今後ますます大切になってくるでしょう。

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2019年10月 8日 (火)

PBLの世界(40)世界の変化は迅速に拡散してウネッている 聖学院で感じたこと (了)

★受験業界でどれくらい気づいている方がいるかはわかりません。しかし、とにかく、日本は国際社会からどんどん遠のいています。ジェンダー問題しかり、教育格差然り、経済システムの劣化しかり、通貨システムの遅れしかり、そしてついに哲学まで最先端から置いていかれています。

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★それでも、あと20年は自分たちは生きていけると50代以上の世代は動こうとはしません。そんな中にあって、Z世代自らが自らの未来のパースペクティブを描いている聖学院生と及び生徒と一緒にそのパースペクティブを描こうとしている聖学院の教師は、いちはやく新しい哲学を東南アジアで見つけてきました。

★聖学院だけではなく、工学院の生徒も教師も同様です。

★もちろん、それは東洋大の准教授清水高志氏のように自覚的に理論的に捉えているわけではありません。しかし、最前線の哲学自体が、もはや理性中心主義でもないし、感性中心主義でもありません。多様なものの見方感じ方で理解すればよいのです。

★したがって、「未来を創る教師セミナー」に集った方々は、少なくともこの最先端の哲学の臭いや雰囲気や響きを共感しているはずです。

★日本の転換拠点は、まさにこの最先端の哲学を実践している人々のつながりから生まれるでしょう。

★で、その最先端の哲学とは?それは清水先生の本をどうぞご覧ください。私は本は斜め読みしかしません。草枕に登場する画家ではないですが、インスピレーション型読書ですから、紹介するほど読み込んでいません。

★私は直感的に、最先端の哲学はついに、「主観―客観」図式を「intersubject-ineterobject」図式にシフトしたのだと感じています。なんだ二元論ではないかと言われますか?いいえ、「inter」は、多元論です。あらゆるものが、このinterという繋がりの中で自分を見出すのです。自分であって自分でないわけです。自分は括弧にくくられ、前面に押し出されるのはinterというつながりです。

★国際政治は分断に向かっているように見えますが、それは二元論の多元論に対する最後の挑戦です。

★そうそう、この多元論は、人間の多様性レベルではありません。自然も社会も多元論のパースペクティブで眺めてみる必要がありますね。ミツバチからみた自然、野の菫からみた自然、アリからみた社会、ダニからみた社会・・・。

★そんなばかな?でもカタツムリに意識はあるんでしょう。だとしたら、人間だけの多様性ではリアルな世界は充満しませんね。そんなわけで、カンタンメイヤスーは、祖先以前性を唱えるのです。人間が存在していないときもリアルは存在していたのだと。

 

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PBLの世界(39)世界の変化は迅速に拡散してウネッている 聖学院で感じたこと ④

★現代思想はビジネス書に潜り込み、学問の世界からは身を隠してしまいました。哲学は大事だと叫ばれながらも、ポスト・ポストモダンを見通す哲学は日本では広まっていません。哲学は命脈を絶たれたのでしょうか?いいえ、欧米では全く新しい哲学が勃興し、文化人類学と協働し、新しい地平を見出しています。

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★日本でも教育哲学は注目を浴びていますが、その知見は、カントやヘーゲルで止まっています。それを大事にしてあがめている方もいるようですが、その哲学は未来を見通していないのです。道徳で終わる可能性があります。自ら、倫理を捨て、道徳の自縄自縛に陥ってしまうでしょう。

★そんなことを思っていた時、聖学院の「未来を創る教育セミナー」で新しい哲学がちゃんと動き始めているのに驚きました。先にご紹介した聖学院の生徒たちは、まさに哲学の最前線をすでに歩いています。彼らは英語を自在に使い、カンボジアばかりかタイにも行き、自然も社会も精神も全く自分たちと違うことに直面します。

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★そして、そこには、自分たちとは違うはかなくも豊かな世界が厳然とあるのです。レヴィ・ストロースが先進諸国以上の世界が未開の地にあったのを発見し愕然とし、欧米人の傲慢さを打ち砕いたのと同じ感覚を共感しているのです。

★そこには「主観―客観」図式の近代思考様式とは全く別の思考様式があるわけです。聖学院生は、そこに気づき、次なる世界を模索し活動し始めています。リアルとは、自分の知っている世界だけではないのです。多様なリアルが1つの世界に充満しているのです。その充満しているリアルそのもののパースペクティブを有することができるかどうかが新しい哲学を有しているか否かを決めます。

★そのことに既に気づいている教師もまたファシリテーターの役割を果たしていました。工学院の田中歩先生と聖学院の本橋先生です。田中歩先生は、英語の教師で、世界を経めぐっています。最近では東南アジアや上海にも飛び立っています。

★本橋先生は、最初英語の教師かと思ったほど英語が堪能で、東南アジアの多言語にも造詣が深いのです。数学の教師なのに!もちろん、東南アジアを経めぐっています。

★二人の先生に共通していることは、英語で世界中の人と対話して、共感の難しさとすばらしさを感じる経験値が高いということです。それから、欧米以外も旅しているので、文化人類学的な視点も自然と環境から開発されています。すでにカント的な認識論は超えているわけです。

★あらゆるものを客観的にみることや主観的にみることはもちろんしますが、それ以外の多様なものの見方ができるという柔らかさがあります。ヒーローのような鋼鉄のリーダーシップは発揮しませんが、集まったメンバーが化学反応を起こすジェネレーターとしてのリーダーシップを発揮します。今回もそうでした。≪ineter≫とか≪com≫という媒介こそがリアルなのです。

★新しい哲学は新しい人間を生みだします。新しい哲学は新しい自然へのアプローチを見つけます。新しい哲学は新しい社会を創り出します。未来を創る教師とは、哲学者ではありませんが、哲学者以上に新しい哲学を実践しているのです。

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