2026中学入試準備(15)今年から2027年にかけて変わる慶應義塾大学の入試問題 才能創発型入試とシンクロしだす
★2025年の慶應義塾大学の法学部の入試問題の変更と2027年の経済学部の入試問題の変更については、要注目です。今年の法学部は、外国語と歴史と小論文でした。歴史は150点満点のうち50点以上が論述問題になっています。世界史では300字論述が2問出題されています。1つは金本位制崩壊後の歴史的経緯の説明ともう一つは宋時代の政治と経済の崩壊に向かうダイナミズムの説明。たぶん山川の教科書を丁寧に読んでいればある程度できるのでしょう。ただ、前者では為替と国際経済の関係について原理を理解しているかいないかで論述が決まるかどうかだったでしょうし、後者も宋時代だけではなく、国の軍事力と政治と経済の普遍的な歴史的なサイクルを理解しているかどうかがカギで、暗記型論述とは違いました。コンセプトベースの学びをしていた生徒にとっては標準的な論述だったかもしれません。
(Bind作成)
★小論文は、これまでの論述問題と違い、ローマ法の一部の文言があるだけで、あとは法と正義の尊重は両立するかどうかを両立するという考え方としないという考え方の複眼思考をせよというビッグクエスチョンが出題されていました。慶応の法哲学者の本を読んできてと言わんばかりのリーガルマインドを入学段階で問うておるのに驚きました。しかも、自分の経験を論拠にするのではなく普遍的例を論拠にせよという条件まであります。
★一般選抜の教科問題で、知識問題が60%くらいで、40%は骨太の思考力問題。まるで最近の中学入試の教科の問題のようです。そして小論文は新タイプ入試のようです。この両方を統合した入試を慶応義塾大学の法学部は実施するようになったのです。
★経済学部は、次のような2つの方式の一般選抜試験になります。
A 方式:外国語〔英語〕(100 分、200 点)+数学(100 分、200 点)
B 方式:外国語〔英語〕(100 分、200 点)+地理歴史〔世界史、日本史のいずれかを選択〕(100 分、200 点)
★経済学部は、論述問題はなくすそうです。論述式の思考形式と経済学部における専門的な思考様式とは必ずしもマッチングしない。むしろ一般選抜の教科の中で複眼思考の論述問題を出したほうがマッチングするのではないかと、議論され検討された結果だということのようです。
★そういうわけもあったのでしょう。今年は論述問題ではあったのですが、その内容は経済学部で研究していくときに必要な経済学の発想システムを問うダイレクトな問題でした。限られたリソースを差別なく配分する考え方を論述するわけですが、その前提として、ハーディーの救命ボート、トリアージ、アファーマティブアクションの違いをまとめる問題を出しています。
★新自由主義的経済発想、厚生経済学的発想、修正資本主義的発想を整理し、どれでもない自分自身の考えにチャレンジする問題でした。
★中学入試問題は、武蔵や麻布のような入試は、すでに2027年の慶応大学の経済学部の入試スタイルです。今年の法学部の問題は、聖学院の教科入試と思考力入試を統合したような入試でした。
★ますます、中学入試問題と大学入試問題は、シンクロし、従来のような受験勉強入試から才能創発型入試へとシフトしていくのかもしれません。
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