2021年3月 6日 (土)

GLICC Weekly EDU(25) 静かに変わる大学入試問題 思考型問題の構造は中学入試の思考力入試と同型。構成主義がゆえに。

★昨日、主宰の鈴木さんと対話しました。詳しくはぜひGLICC Weekly EDU 第20回「2021年大学入試問題を通して今後の大学進学準備教育について考える」をご覧ください。今年の一橋の帰国生入試の小論文のテーマから話しが始まりました。そして、このテーマが、一橋の今年の問題の特徴というより、もっと普遍的で、特に今回のパンデミックにおいて問い返されるテーマなのではないかと気づきました。そこで、早稲田や慶応大学、浜松医科大、一橋大学などの一般入試における論述型問題を見ながら、通奏低音であることを検証していくこととなりました。

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★一橋の帰国生入試の課題文は、上記の書から引用されていました。SNSの世界などでフェイクが横行し、分断が進んだここ数年の世界の動きを、個人の知の限界が生み出す誤謬の世界だから、コミュニティ(時代を超えて)に相互に切磋琢磨するコミュニティの知にもっと目をむけようという箇所でした。

★要約などの記述の問いが出題されたうえで、個人の知や知能が重視され、コミュニティの知が軽視されてきたのはなぜか、ケースを挙げながら自分のオピニオンを論述する問題が出題されていました。

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★この個人の知とコミュニティの知のジレンマという構造をいかにつかみ、構成するかということですが、これは慶応の環境政策でも同様でした。早稲田の政経でも同じでした。

★東京医科歯科大学や浜松医科大の実験や治療法を開発する論述も、ジレンマではないですが、矛盾が生じないように検証やモニタリングを実験や開発プロセスの中に求めていました。

★一般入試の限界もあり、ジレンマや矛盾を自分の体験から発見するプロセスは踏まないし、具体的な政策や開発の実効性など深く論述するところまではいっていないのですが、それでも、要約して終わりという問題を超えて考えるところまで求める傾向がでてきたわけです。

★早稲田の政治経済学部がそのような新しい動きを出したということは、たいへん意義のあることです。もちろん、そのような問題を出すというサンプル問題を何回か公開した結果、敬遠されて出願数が減ったということで、来年続けるかどうかは、注視するところではあります。

★もうひとつ、早稲田の政経における独自入試は総合型問題一本でしたから、課題文は日本語と英語でした。

★したがって、早稲田の政経の総合型問題は、一般入試において、今後言語はバイリンガル以上になり、思考力も個人の知からコミュニティ知にシフトし、ロジカル&クリティカルシンキングまで求められるようになってきたという傾向の象徴といえるでしょう。

★これは、中学入試においても同じことが起きています。

★今回一橋の出題した課題文を執筆したスローマンさんは認知科学者です。認知科学の特徴は、科学の最先端の知見も、専門家ばかりではなく子供も理解できる構成主義的な授業デザインができるということです。

★中学入試や大学入試も思考型の問題になると、そこに差があっては科学的とはいえないので、少し考えれば当たり前です。この思考のメカニズムを、今回は思考のサーキュレーションという図でまとめました。詳しくは今後また語っていきたいと思います。

★今月の末、大妻中野の教頭諸橋先生がご登壇されます。大妻中野は早稲田の政治経済の入試問題に先駆けて新しい英語や思考力入試問題を開発しています。New Power Schoolのリーダーシップを発揮しています。

★諸橋先生とは、その開発当初から語り合ってきました。大妻中野の教育が本質的だからこそ、この普遍的な思考型のあるいはコミュニティの知への動きと結びついているのでしょう。というよりも、牽引しているのでしょう。その本質的な教育について語り合えるのを楽しみにしております。

 

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2021年3月 5日 (金)

大学入試問題とトランジション(12)浜松医科大学の生物 システム思考の有効性。その転用の発想を探究に活かすことができる。<思考スキル→IDEA→システム思考のサーキュレーション> IBを超える学び

★今年の浜松医科大学の生物で、フェニルケトン尿症の発生のメカニズムを考察する記述とそれを治療する方法の開発を論述させる問題が出題されました。遺伝子や塩基のことについて、生物の教科書で学んだ基礎知識は必要ですが、この症状の事実を知らなくても、課題文を読めば、理解できるようになっています。

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★しかしながら、課題文で説明されている内容は、上記の図に描かれているメカニズムであり、なぜある酵素の塩基配列が変化してしまうのかは自分で推理するしかありません。また、この症状の治療方法を開発せよというのも同様です。

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★おもしろい思考問題ですね。しかしながら、これは思考スキルを適用するIDEAと生物の基礎知識を結合することでできます。上記の問4は、置換スキルと不足しているものと不足していないものという比較のスキルがIDEAになります。このIDEAにマッチングする知識を想起すればよいわけです。

★問5の治療の開発は、前回ご紹介した東京医科歯科大学の実験を開発する問題と同様、比較スキルをIDEAとして使います。あとは因果スキルです。これらのIDEAに結びつける知識は、使う語句として設定されているので、それほど多くの知識を動員しなくても大丈夫です。この因果スキルは、循環の弊害(問5では副作用となっていますが)を、見出すシステム思考につながります。

★このような問題が、出来るかどうかは合格するには重要ですが、それだけではなく、探究の入口ではインスパイアクエスチョンになります。

★両方とも、思考スキル→IDEA→ループで見える化するシステム思考のサーキュレーションを考えていきます。この思考のサーキュレーションに気づき自らのものにした生徒は、多様な事象に直面しても、この思考のサーキュレーションを回して追究していくことができます。

★来年から始まる総合の探究の時間について、世間では大いに議論され、テキストサンプルが山積しています。それは大いに結構ですが、事象というコンテンツを何にするかに目をとられすぎ、思考のサーキュレーションをいかに体験の中で気づいていくのかそのプロセスを発見するプログラムデザインはあまり注目されていません。思考のサーキュレーションの講義はあるかもいsれませんが、ワークショップにはなっていないですね。

★IBでは、TOKやパーソナルプロジェクト、コミュニティプロジェクトで活用されるATLスキルは、若干思考のサーキュレーションと重なりますが、あくまで学習のサーキュレーションで、思考の内的な連関サーキュレーションは前面に出てきません。

★それゆえ、IBを参考にしている探究の話も、そこまで深入りしないのでしょう。

★国立大学の一般入試を受験する生徒が、実はすでにこの思考のサーキュレーションを身に着ける可能性が高いわけですね。なんと逆説的な!総合型選抜や探究に偏った指導をしていると、本来探究で最も重要な出発点を見落としてしまうというパラドクスがなきにしもあらずです。もっとも、早慶を除く私大の一般入試は、思考のサーキュレーションは必要としていません。ここが課題ですね。

★中学入試においては、男子御三家の一般入試と聖学院、工学院、かえつ有明、和洋九段女子、大妻中野などの思考力入試は思考のサーキュレーションを大切にしています。

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2021年3月 3日 (水)

New Power School(01)八雲学園 豊かで本質的なキャリアデザインを描く意志

★八雲学園の今年の中学入学生の男女の比は、ほぼ1:1。バランスのいい共学校になりました。またいよいよ高校入試でも男子が入学します。高校入試は、少人数定員ですが、高校から新しい自分にチャレンジしたいという生徒が入学してきます。今年もそうだということです。この高校入学者の覚悟こそ八雲学園の進路教育の真髄です。

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★実は中学入試及び高校入試は、キャリアデザインの分岐点です。学歴社会の中で勝ち組になろうとすれば、出来るだけ偏差値の高い学校を選択しようとするでしょう。世界に視点が向いている生徒は、これからはグローバルな社会の中でそれぞれの才能を生かしたリーダーになり、寛容な社会を創っていく道を選ぶでしょう。

★中学入試の時点で、あるいは高校入試の時点で八雲学園を選ぶというのは、学歴社会の中で勝ち組になる戦術を学ぼうとするのではなく、様々な問題を解決すれば解決するだけ新たな問題が噴出する予測不能な世界の中で自分の才能をどのように活かして貢献していけるのか希望と覚悟を抱くことです。

★Old Power Schoolの選択者だって学校当局だって、まさか勝ち組になろう、勝ち組を生み出そうなどと初めから思っているわけではないのですが、過去のデータばかり見て、現実志向ばかり追求して、希望と覚悟を持たない限り、現在の学歴社会に飲み込まれて、格差をつくる側、格差をつくられる側に振り分けられるのです。

★この現代社会の課題を根本のところで意識できるかどうかがポイントです。つまり、自分の内なる希望と覚悟によって選ぶ意志を大事にするのか、他人の決めた偏差値で学校を決めるのかが重要な人生の分かれ道なのです。

★八雲学園のラウンドスクエア体験をしたOGが次のようなエッセイを後輩に贈っています。一読していただければ、進路先のためのキャリアデザインではなく、世界の痛みを引き受け社会に貢献する自己実現のためのキャリアデザインを描いていることが了解できるでしょう。

 <RoundSquare国際会議を経て> 2019年度卒業 臼田千優


 私は、2018年にカナダの首都オタワで行われたRS国際会議と2019年に中国の深圳で行われたRS地域会議に参加した。この貴重な経験は私に沢山の気付きと発見を与え、私のやりたい事、将来目標とすることを確固たるものにした。。特にカナダでの国際会議は私にとって何ものにも変えがたいものであった。
 私は東京出身だが、毎年秋田県にある田舎で正月を過ごしたり、北海道でファームステイをしたりと地方との関わりが幼い頃から多かった。そのため、自然豊かで静かな地方での生活に憧れがあった。一方で、少子高齢化により地方の活気はなくなり、ますます人が減っている。その状況に以前から、こんなに素晴らしい所の魅力が沢山の人に知られず廃れていくのはなんとももどかしい、なんとかしたいという思いを心の底に抱いていた。
 高校1年生の時、八雲学園の9ヵ月プログラムに参加した際、異文化コミュニケーションに興味を持ち、高校2年生の10月に国際会議に参加した。周りの学生は当然のように英語が話せる状況でコミュニケーションには大変苦労した。その中でも自分の言いたい事を必死になって誰かに伝えたいと思い努力したことは非常に貴重な経験であり、勉学に対するモチベーションになった。私のこの会議での一番の気づきは、「地域文化の多様性」である。会議最終日に行われた交流会で各学校の生徒達がそれぞれの文化を表現したパフォーマンスを披露した。そこで一つの国の中でも地域ごとに全く違うパフォーマンスが披露された。こういった地域文化が海外に存在するということは47都道府県に分かれている日本にも存在し日本の財産であるという事を痛感した。
そこで、「日本の地域活性化をしたい」、過疎化によって失われつつある地域の活気を取り戻したい、これが私の軸となり進路の道筋になった。現在は明治大学にて地域の政治経済を重点的に学び、ゼミでは地方移住や地方への企業誘致政策について分析している。さらには文化人類学やジェンダー論など今まで触れてこなかった様々なことに興味を持って講義を受けている。コロナ禍のため留学など厳しい部分はあるが、英語のプレゼンテーション講義を受けるなど、工夫しながら大学生活を送っている。国際会議に参加したことは私の将来に大きな影響を与え、どんな時でもチャレンジしてみる勇気を与えてくれた。高校時代にこのような貴重な体験ができたことを嬉しく思うと同時に、チャンスを与えてくれた先生方、保護者に感謝している。
今世界中が大変な状況ではありますが、何か小さいことでも自分のやるべきことがあり、それを積み重ねれば必ず結果になります。皆さんも頑張ってください!

★「どんな時にでもチャレンジしてみる勇気」。これぞ覚悟ですね。

★今年の卒業生の中には、あのマンチェスター大学に合格した生徒もでています。イギリスの大学評価機関Quacquarelli Symondsによる2021年最新世界大学ランキング(QS World University Rankings)で27位です。東大が24位、京大が38位です。ところがです。その生徒は、マンチェスターと日本の私立大学が併願で、両方受かったら、日本の私大を選択するというのです。ランキングとか偏差値とか関係ないのです。あくまで、自分の自己実現のためのキャリアデザインなのです。

★もはや八雲学園は、日本の大学はいうまでもなく、世界の大学が自分のキャリアデザインのための選択肢になったのです。

★MARCH以上に何人はいっているかで学校を選ぶのは、Old Power Schoolでは有効ですが、New Power Schoolでは、自分自身の意志を大事にするということがポイントなのです。

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大学入試問題とトランジション(11)東京医科歯科大学の生物 発生生物学の学際性を活用する探究もありかも

★今年の東京医科歯科大学の生物の問題は、いつも通り、用語の名称記述と説明記述、現象の因果関係の説明記述、図式化、仮説実験の論述など骨太の思考問題でした。

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★その中で、一番目の問題では生物発生学の分野である細胞接着の問題が出題されていました。カドヘリンが細胞接着に必要なのかどうか証明する仮説実験を考え、結果も予想する論述問題もしっかり出題されていました。

★同大学の生物の問題は、知識がなくても推理して解けるというような問題ばかりではなく、がっちり基礎知識が必要で、それを記述できるまでに仕上げていなければできないので、入試準備段階の取り組みは、論理的な思考力をがっちりトレーニングすることになります。そして、それで合格できます。

★しかしながら、そんな中で上記のような問題は、仮に知識としてしらなくても、科学の実験のプロトタイプを知っていれば、それをメタファーとして応用が出来る問題です。

★このプロトタイプは、小学校や中学校で行う実験、たとえば光合成と呼吸の関係を検証する実験と同じものです。条件を一つだけ変えて比較実験をし、その結果でてきた物質のアイデンティティ検査確認するという一連の流れですね。

★これを論理的思考とみるのか、クリティカル&クリエイティブシンキングとみるか、それについて議論することはあまり意味のある事ではありません。むしろ、プロトタイプをメタファーに使うということを、科学以外にも活用できるということに気づくことが大事です。

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★この話は、最近出版された高橋祥子さんの上記写真の書籍と類似した発想です。同書では、細胞接着をメタファーに組織の構造を考えるケースは載っていませんが、当然それも想定されているはずです。

★組織の結合を媒介するカドヘリンの役目とそれを阻害するカドヘリン抗体の関係は、組織結合と組織崩壊のメタファーに活用できます。中世は目に見える生物現象モデルで組織や人間関係、知性について語られてきました。

★それがマシーンモデルに代わってきたわけですが、現在では、遺伝子や細胞レベルの生物モデルで語れるようになってきました。

★理系に限らず生物という学問領域は重要になってきたわけです。

★生物モデルで社会を考える視点は、もちろん生物の授業時間で行うにはそれこそ物理的時間が足りないでしょう。「探究」という時間の意味はそこにこそあります。リアルな体験ばかりが重視されがちですが、数学モデルで社会や人間を考えるとか、言語モデルで考えるとか、AIモデルで考えるとか、倫理モデルで考えるとかなどなど、多角的視点のトレーニングの場として活用するというのもありですね。

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2021年3月 1日 (月)

品川翔英 教師の一体感が溢れでる。国語科拡大研修で。

★2月27日(土)、品川翔英は、前代未聞の研修が行われました。入試の見通しが立つや、怒涛の4月に向けての準備で学内は活気に満ちています。その雰囲気を象徴するような吹奏楽部のスウィングジャズの音が響く中、研修は行われたのです。

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★昨年の3月から国語科はPBLの実践的な研修を積んできました。もともと潜在的な可能性があったのに加えて、オンライン授業へのシフトが、ハイブリッドPBLの飛躍的進化を後押ししました。

★物語の単元では、現代文でも古文でも、13フェーズで物語分析をしたり、物語創作をするという言語構造論をわかりやすく生徒と共有するようになりました。言語領域については、ワードウルフというラテラルシンキングを養う方法で、ロジカルな言語化を生徒がアクティビティで学ぶようになりました。他の単元でも分厚い問いが生まれ、生徒が深い学びを行っていくようになりました。

★この言語構造論やラテラルシンキング、言語の背景リサーチについて、国語科の田中幸司先生は、他の教科の先生方と共有する拡大研修会を実施しました。いわゆる教員研修ではなく、国語科の研修に参加したいと思う先生方に公開するという形式でした。

★この忙しい時期にどのくらい参加するのだろうと思っていたら、4グループもできるほどの参加がありました。柴田校長や熊坂先生も見守っていました。

★田中先生の講義というよりも、国語科の先生方がみなファシリテーターになって、ワークショップ形式の研修となりました。全員当然のごとくタブレットをもってきていましたから、プラットフォームを活用しながら、物語構造分析などを協働しながら行う姿は、圧巻でした。

★この活気あるオンラインも使いながらのハイブリッドPBL授業さながらの研修となったのです。4月以降の品川翔英のハイブリッドPBL授業の共有をする形にもなり、意気込みや気概を感じる研修でした。

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★品川翔英の人気の秘密は、やはりこの先生方のチーミングの勢いとパッションとワクワク感と生徒との信頼と生徒の人生への責任感だということはわかりましたが、これだけでは人気は持続しません。

★最後のリフレクションで、瞬発力あるディスカッションとプレゼンが行われましたが、そこではファクトとオピニオンで終わらないSomethingが加わっていました。実はこれが世界標準の知の共有の持続力の奥義です。国際バカロレアのプラグラムが優れているのは、まさにこのSomethingをプログラムの中に織り込んでいるからです。

★この力を品川翔英の先生方は共有していることが、リフレクションで次々と証明されていったのです。

★さて、そのSomethingの正体とは何か?それは企業秘密です(笑)。

★今年度最後の国語科研修は、このSomethingのメカニズムを共有することになります。画竜点睛を欠かない研修となるでしょう。そして、そこにこそ、品川翔英の持続可能な人気のエネルギーが生成されているのです。もちろん、そのエネルギーは、生徒1人ひとりの内面から溢れ出るエネルギーとなります。このエネルギーを学内の生徒全員が生み出せる学校は、今のところそう多くはありません。

★御三家といえども、全員は無理なのです。なぜか?それを生み出す環境を授業で創っていないからです。気づく生徒は気づくけれど、気づかない生徒は気づかないままで卒業してしまいます。品川翔英は違います。生徒1人ひとりをケアするのです。このケアという言葉を大事にしているのが、田中幸司先生です。

★それゆえ、拡大研修という広がりを生み出したのでしょう。

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2021年2月27日 (土)

GLICC Weekly EDU(24) GLICCの中国人スタッフのオリビアさんとの対話 東大の地理の問題とシンクロ

★昨日、GLICC Weekly EDU 第19回「グローバル教育について考える-中国人留学生チョ・テンジョさん(Oliviaさん)とともにこれからのグローバル社会を考える」がありました。そのときは、まだ今年の東大の地理の問題が公開されていなかったのですが、今みてびっくりです。留学や言語について鈴木さんとオリビアさんが対話した内容が、地理の設問Bで出題されていたのです。

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★インターネットの重要性や日本の留学生のほとんどがアジアからだということなど対話していったのですが、そのことについて論述する問題が出題されていたのです。

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★GLICCのスタッフは、留学生が多いのですが、日ごろ対話されている内容は、リアルな問題が共有されています。

★また、留学生は、東工大や東大などで研究しています。東工大の大学院で研究しているオリビアさんは持続可能な環境をつくることに企業が投資するESG投資やグリーンポンドの評価について研究するプロジェクトを実施しているそうです。

★経済活動がSDGsを達成していく可能性、社会的インパクトについて研究しているスタッフがGLICCには存在しています。大学入試問題を考えるリアルな人材がいるという場は、得難い塾です。

★英語と国語と算数という科目設定ですが、実際には言語と思考のプログラムがメインストリームです。いまのところ、日本語を使わざるを得ませんが、いずれは、英語と思考のプログラムだけの塾になっていくのでしょう。

★なぜなら、大学入試問題が、そうならざるをません。

★東工大のオリビアさんの研究室は50%が留学生だそうです。今後は大学院だけではなく、大学もそうなっていくでしょう。

★なぜか?おそらくESG投資やグリーンポンドへの投資が脱炭素スマートシティー構想と結びつき、そのモデルづくりの拠点が東京シティそのものがなるからです。

★トヨタとホンダが静岡と埼玉で、それを行っていますが、その成果は結局東京シティに転移されるようになります。そのとき、海外からの留学生がたくさん集まってきます。

★インバウンドの質の大転換がいよいよ起こるなあとしみじみ感じた対話となりました。

★日本語はどうなるのか?それは源氏物語を学ぶように、文化言語として学びますが、日常語というか公用語は英語にならざるを得ないでしょう。

★英語×思考×スマートシティ=ガーデンシティというのが、実はGAFAが考えている構想です。

★じゃあ、日本のアイデンティティは?イギリスがポンドを守り切ったように、日本は円を守るということでしょう。

★かりにデジタル通貨になっても、円という名前は残すでしょう。

★もし、それもなくなったとき、それはグローバリズムとナショナリズムの二項対立を超えた第三の世界の登場です。それがハイブリッドガーデンシティということになるでしょう。

★New Power School市場の登場は、実は東京シティの大きなモデルチェンジの兆しだということなのでしょう。

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大学入試問題とトランジション(10)京大の生物に脱炭素のシステム構築のヒントを学ぶ

★今年の京都大学の生物の最終問題は、生態系の循環のメカニズムをエネルギの変換過程のレンズを通して考察し、記述する問題。教科書を丁寧に読んでいて、あとは比例・反比例の関数関係や比の関係を使えばできる基本問題。語彙をやさしくすれば、中学入試でも出題できる。

★仮に麻布がこのテーマで問題を出したとしましょう。すると、ファインマン博士のワークショップを持ち出すでしょう。子どもたちにチョロQが動く背景に思いを馳せさせ、そこには生態系があり、最終的には太陽エネルギーに行きついてしまうワークショップです。そして、そこにエネルギー変換の過程を結びつけて出題するかもしれませんね。

★あるいは、生物多様性の話に展開していくかもしれません。あるいはまた、チョロQが動くエネルギー量を測定し、そのエネルギーはもともと生産エネルギーの何割になっているのか算出させ、脱炭素のためにどんなシステムをつくることが可能なのか問うような問題が出されるかもしれません。

★もちろん、その際、得意のモデルを組み立てシミュレーション実験をするでしょう。

★そんなワクワクするような探究の広がりの出発点を記述させるというのが、京大らしい問いのデザインです。

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2021年2月26日 (金)

大学入試問題とトランジション(09)名古屋大の安定した思考力問題

★今年の名古屋大学の入試問題は、どの教科もいつもながら骨太で、それでいて自然体の学び方で立ち臨めます。論理的でクリティカルシンキングが学べる問題ばかりです。ふだんの授業で単元に相当するところを名古屋大学の入試問題でモニタリングしていくといいのではと思います。

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★世界史の最終問題も350字くらい書く論述型問題ですが、与えられたキーワードをセンテンスにしてつないでいくとできるので、教科書をきちんと学んでおけばよいのですが、なぜこの問題を出したのかを授業で問うメタ視点を学びたいところです。

★今年の問題は、1989年に向けて世界がガラリと変わるファクトを書く問題なのですが、ドイツとソ連と中国と東欧の動きをまとめる問題でした。こうして89年に向かって世界全体が動いていくのを一望する問題は、なるほど、民主化が進んだと同時に、実は反民主化の種がちゃんと残されていたことがわります。

★それが、今にいたっているわけです。今回のパンデミックでそれが露になったわけです。

★一方、法学部の小論文もいつもながら圧巻なのですが、<平等>という概念の捉え返しと、いまここで現実に起こっている格差問題をどう解決するかを考える問題でした。

★ただ、慶応大学のようにリベラルコミュニタリアンやリバタリアンの話まではいかず、ロールズで思考を展開する問題で、今の高校生が考える基礎に基づいて論考する条件がきちんと設定されていました。

★受験生にとっては、日ごろの準備が生かされるように問いの条件が設計されているのが、名古屋大学らしいなあと感じました。というのも、この新しい発想は、1989年の民主化の進化の側面から生まれてきていますから、もう一つの反民主的な動きの種を見過ごしがちなんですね。

★両方を複眼的に見るには、ルソー→カント→ロールズの発想について整理しておく必要があります。そこからリバタリアンなどの新しい動きを見てみると、さらに次の新しい見方がみえてきます。

★東大や大阪大学は、この新しい見方を捉える問題を現代文で出題していますから、斬新ではあるけれど、もし受験生が名古屋大のような背景を知らなかった場合は、たんなる読解問題になってしまいます。

★そして一方で、名古屋大の受験生が、この新しい発想も学んでいたら、今回のような問題は見通しがすぐに開けたことでしょう。

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大学入試問題とトランジション(09)東京大学と大阪大学の現代文から見えるコト

★河合塾の大学入試解答速報で、国立大学の入試問題が公開され始めています。大学入試問題の解答方法については、それぞれスペシャリストの方々にお任せし、私が見たいのは、入試問題という問いの背景になにがあるか、あるいはその問いを発する大学の識者が何を見ているのかということです。インタビューもしないので、もちろん私の独断と偏見です。それでも、どんな素材が扱われているかを話題にすることは、参考になるかもしれません。

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★今年の東京大学の現代文の1つは、「文化人類学の思考法」という著作から出題されています。13人の文化人類学者が執筆していますが、その中の松嶋健さんの「ケアと共同性」という論考から一節が出題されています。

★大阪大学では、東浩紀さんの「観光客の哲学」から出題されています。なぜ今観光客かという大事な大前提が詳しく語られていると箇所が終わったあたりから出題されているので、東浩紀さんの文章に接していない場合、読みにくかったかもしれません。

★ともあれ、どちらも、今回のパンデミックで世界同時的に気遣っているテーマです。もちろん、話題性に着目して出題したというわけではないでしょう。世界同時的に気遣ったこととは、世界同時的に気遣うことができてしまっているということそれ自体の意味です。

★グローバルとローカルとか、グローバリズムとナショナリズムとか対比して語られるのが通常ですが、その対比を無化ししてしまう世界同時的なこの均質性とはいったい何だろう?という気遣いですね。

★今回のパンデミックは個人主義ではどうにもならないことにみな気づいたわけです。また国家が管理することができると思われてきたことが、そうではないのではないかという気づきも世界で共有しているわけです。

★両著がパンデミック前に出版されているにもかかわらず、そのことを問いかけているわけですから、産業革命以降の近代化の概念を問う本質的な話に、世界がパンデミックによってようやく気づいたということなのでしょう。

★個人と社会共同体の関係とは違う第三の概念をそろそろ考察しようよということでしょう。世界同時的に、世界均質になってしまったがゆえに、それは逆説的に達成されているのですが、ここにきて新しい概念を創出しようという時代になったわけです。21世紀は個人や社会、自然について新しい知識を生み出す思考の時代にはいっているということです。

★大学入試問題をはじめ、小中高の入試問題に思考力や記述力が重視されているのは、文科省が決めているのではなく、時代の良心の反映ということでしょう。もちろん、文科省もその声に耳を傾けているわけですね。

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2021年2月25日 (木)

大学入試問題とトランジション(08)早稲田大学政治経済学部 新しい一般選抜実施 トランジションモデルになる!か?

★早稲田大学政治経済学部の一般選抜試験が実施されました。今年から、全く新しい形式で行われていますから、受験業界は注目しているはずですが、すでにサンプル問題も公開されてきましたから、衝撃度は少なかったかもしれません。サンプル問題通りだったからです。

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(総合問題の英文は同書から出題)

★とはいえ、政治経済だけではなく、他の学部でも入試問題の形式を変更していました。それも大きな一因となって出願数が激減して、特に政治経済学部は目立ちましたから、その点に関しては大いに話題になっていました。したがって、実質的衝撃はやはり大きかったのかもしれません。

★この出願数が減ったということで、今後入試問題形式の揺り戻しがあるかどうか注視していきたいですが、定員を割ったという話ではないのですから、総長や学部長が使う言葉「熟議」「グローバルリーダー」「ハイブリッド教育」に質の高いマッチングが出来た場合、今回の新しい形式は継続されることになるでしょう。もしかしたら、さらに進化する可能性もあります。

★いずれにしても、この形式が続けば、受験生の学び方は変わります。大学入学共通テストでは、英語と国語と数学Ⅰ・数学Aは必須です。文系ですが、数学が必須というのが出願が減った原因の1つでしょう。おそらく、当局はそのことは織り込み済みだったと思います。しかし、政治経済の学問の世界で、数学的思考はもはや無視できない時代です。いかしかたがないでしょう。となると、早稲田の政治経済を志望する生徒の学び方は変わりますね。

★そして、大学入学共通テストから社会、数学、理科から1教科1科目選択しなければなりません。共通テスト後の総合問題を見れば明らかですが、倫理や生命科学の素養が必要になりますから、倫理とか生物、化学の選択をする生徒もいると思います。従来なら世界史とか日本史の選択に絞れたでしょうが、どうやらそうでもなくなってきました。

★要するに、大学入学共通テストを課すことで、英語と日本語という言語技術と哲学、数学的思考、科学的思考というリベラルアーツを包括的に学んできて欲しいというメッセージがあります。教科の学びが、リベラルアーツに結びつくかどうかは、授業次第ですが、おそらく生徒は新書レベルの文章とジャーナルレベルの英文は読み込むことになるので、かりに授業が知識中心主義でも、生徒の学び方は変わります。

★総合問題も、推理思考と小論文思考は重要になるし、ハイブリッド教育そのものを反映した日本語と英語の素材文の両方が出題されます。生徒の学び方はやはり変わります。

★しかも、早稲田の政治経済の一般選抜で出題される小論文というかワンパラ論述は、200字や100Words程度で、テーマも受験生なら想定内です。ですから、ここはさっさっと書いてクリアしなくてはならないでしょう。

★つまり、SDGsの1つひとつの問題に関して、ワンパラでスピーチできるトレーニングをするような学びが必要になります。予備校がトレーニング集をつくり、それを暗記するというようなことが起こるかもしれません。しかし、それよりも、自分で調べたりしてワンパラノートを創っていく方が、大学入学後役に立ちますから、当然、後者の学び方をする生徒が増えるでしょう。

★今のところ、早稲田政治経済とSFCくらいしかこのような形式と内容の入試を提示していないので、多くの高校生の学びが変わるかどうかはわかりません。

★たしかに、私大の一般選抜入試でも小論文を課す入試が徐々に増えてきていますが、かりにその小論文を空欄のまま終えたとしても、他の知識問題ができれば合格できます。ですから、高校生全員の学び方が大きく変わることはないかもしれません。

★しかし、国立大学の独自入試、私大の総合型選抜、共通テストの作り方の変化など丸暗記型受験勉強を無化するウネリは明らかです。私大の一般選抜で早稲田大学の政治経済学部の入試問題の変更は、そのウネリを増幅するのに貢献する可能性はあります。

★いずれにしても、PBL型授業の重要性が高まるのは避けられないし、考える作業や協働型プロジェクト体験が入試や大学入学後にも大きな影響を与えるでしょう。進路指導をトランジションモデル形成に変容させる転機になることは間違いないでしょう。

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