2025年2月19日 (水)

2026中学入試準備(15)今年から2027年にかけて変わる慶應義塾大学の入試問題 才能創発型入試とシンクロしだす 

★2025年の慶應義塾大学の法学部の入試問題の変更と2027年の経済学部の入試問題の変更については、要注目です。今年の法学部は、外国語と歴史と小論文でした。歴史は150点満点のうち50点以上が論述問題になっています。世界史では300字論述が2問出題されています。1つは金本位制崩壊後の歴史的経緯の説明ともう一つは宋時代の政治と経済の崩壊に向かうダイナミズムの説明。たぶん山川の教科書を丁寧に読んでいればある程度できるのでしょう。ただ、前者では為替と国際経済の関係について原理を理解しているかいないかで論述が決まるかどうかだったでしょうし、後者も宋時代だけではなく、国の軍事力と政治と経済の普遍的な歴史的なサイクルを理解しているかどうかがカギで、暗記型論述とは違いました。コンセプトベースの学びをしていた生徒にとっては標準的な論述だったかもしれません。

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(Bind作成)

★小論文は、これまでの論述問題と違い、ローマ法の一部の文言があるだけで、あとは法と正義の尊重は両立するかどうかを両立するという考え方としないという考え方の複眼思考をせよというビッグクエスチョンが出題されていました。慶応の法哲学者の本を読んできてと言わんばかりのリーガルマインドを入学段階で問うておるのに驚きました。しかも、自分の経験を論拠にするのではなく普遍的例を論拠にせよという条件まであります。

★一般選抜の教科問題で、知識問題が60%くらいで、40%は骨太の思考力問題。まるで最近の中学入試の教科の問題のようです。そして小論文は新タイプ入試のようです。この両方を統合した入試を慶応義塾大学の法学部は実施するようになったのです。

★経済学部は、次のような2つの方式の一般選抜試験になります。

A 方式:外国語〔英語〕(100 分、200 点)+数学(100 分、200 点)
B 方式:外国語〔英語〕(100 分、200 点)+地理歴史〔世界史、日本史のいずれかを選択〕(100 分、200 点) 

★経済学部は、論述問題はなくすそうです。論述式の思考形式と経済学部における専門的な思考様式とは必ずしもマッチングしない。むしろ一般選抜の教科の中で複眼思考の論述問題を出したほうがマッチングするのではないかと、議論され検討された結果だということのようです。

★そういうわけもあったのでしょう。今年は論述問題ではあったのですが、その内容は経済学部で研究していくときに必要な経済学の発想システムを問うダイレクトな問題でした。限られたリソースを差別なく配分する考え方を論述するわけですが、その前提として、ハーディーの救命ボート、トリアージ、アファーマティブアクションの違いをまとめる問題を出しています。

★新自由主義的経済発想、厚生経済学的発想、修正資本主義的発想を整理し、どれでもない自分自身の考えにチャレンジする問題でした。

★中学入試問題は、武蔵や麻布のような入試は、すでに2027年の慶応大学の経済学部の入試スタイルです。今年の法学部の問題は、聖学院の教科入試と思考力入試を統合したような入試でした。

★ますます、中学入試問題と大学入試問題は、シンクロし、従来のような受験勉強入試から才能創発型入試へとシフトしていくのかもしれません。

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2025年2月18日 (火)

2026中学入試準備(14)問いの循環思考が行われる授業 すてきです。

★前回は私立学校の先生方がどんな授業をしているか?について触れました。それは生徒自身による「問いの循環思考」が行われる授業だと。では、その「問いの循環思考」とは何か、私なりのイメージを図式化してみました。

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★昨日は理数系の先生方でしたから、このブラックボックスである現象は、自然現象だったり、数理的せかいだったりします。まずAの段階では曽於現象を理解する問いを生徒共に考えていきます。知識のつなぎがわるいとエラーを起こすので、そこを調整していきます。

★しかし、なぜ調整できるかというと、その現象を生み出している「原理」があるからで、現象の中に矛盾が起きていることを問うことによって、その調整ができる原理を帰納推理と仮説推理で考えていきます。このBの段階では、帰納的にはカテゴリー分けと具体と抽象の関係ですね。そのとき、もしもこう分けたらとか、もしもこう抽象化できたらとかなどと仮説を立てていきます。

★検証は現象の中で起きている矛盾が解消することでひとまず原理にたどりつきます。あとは演繹的にその原理を具体に適用していくことになるわけです。この問いの循環思考ができれば最高なのですが、ここでとどまりません。

★その原理を生成する条件はさらに何か?といなるわけです。このC段階は、理数系では超難問です。すでに存在している原理ですから、それがなぜあるのかを問うのは、哲学の領域に入ってしまいます。

★今回は、理数系の授業から問いの循環思考を抽出したのですが、おそらく文系にもこの問いの循環思考は転移できると思っています。この転移によって文理融合の道が開けるのではないかと。

★ただ、文系的世界の社会現象や文学的現象を生み出す原理は多様です。ですから、それらをどうまとめるのかさらにメタ的にみる視点が必要になります。理数系では難しかった世界制作視点を見つけていく問いが立てられます。

★ところが、おもしろいことにこの世界制作の視点は理数系から提供されるものでもあるのです。世界は当たり前ですが文理融合的思考でできているわけです。文理融合ってこのように考えると、幼児期の非認知能力と認知能力の融合ということです。幼児期ははじめからこれらは未分化状態だったのが、成長するにつれ分裂し、そのままではなく、どこかで融合するのが人間的だったのでしょうが、どこかでそれができなくなったのかもしれません。

★AIの出現で、その融合という本来の人間回復が希求されてきたという時代かもしれません。

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2025年2月17日 (月)

2026中学入試準備(13)東京私立中高の理数教育の教科横断性 実に深い

本日、アルカディア市ヶ谷(私学会館)で、東京私学教育研究所の理数系教科研究会が、<令和6年度「合同授業実践報告会」~教科横断的な授業実践・生徒の興味が高まる取組・ICT や実物教材を用いた取組の報告~>を開催しました。8つの学校の理数系の先生による授業が報告されました。理数系の教科が一堂に会して、授業報告するというのは、従来はなかったのですが、今年委員の先生方がチャレンジし、教科横断的視点を参加者がそれぞれに発見するという機会をつくりました。情報交換会もあり、それぞれ気づいた視点をシェアしたことでしょう(私は都合により3人の先生の報告を聞いて去らねばなりませんでした)。

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★3人の先生の報告を聞くや、普段の授業の中で、生徒が目からウロコの連続であることに感銘を受けました。教科横断とは、この目からウロコ体験が、多様なものをつなぐ回廊になっているのかもしれないと感じました。

★そして、その目からウロコというのは、先生の創意工夫した問い作りにカギがありました。生徒が知っている知識を問い進んでいくと、その知識の積み上げがある矛盾にぶつかるような仕掛けがなされているのです。

★生徒はそこからなぜ、どうして、おかしいじゃないかと問いの連鎖という思考を展開していきます。

★そして、この目からウロコ体験を積んでいったところで、今度は目からウロコ体験を生徒自らが生み出す問い作りの探究が普段の授業の中で行われているのです。

★探究の時間ではなく、普段の授業の中で実は行われているのです。ある一つの単元の残りの20%から30%はミニ探究活動になっているのです。教科と探究がつながっているのに驚愕しました。なぜつながるのか?それは問いの循環思考が作動しているからではないかと。これについては、次回もう少し述べたいと思います。

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2026中学入試準備(12)3Fマインドと3Tスキルを大切にする教師がいる学校を探そう

昨日、和洋九段女子で、22世紀型教育研究センターは「問いの生成WS」を開催しました。3校の生徒の皆さん10人と先生方が共にWSを創っていました。いろいろなセミナーがありますが、一般には、先生方が学び合うものが主流です。生徒の探究発表というのもありますが、その発表に到るまでのプロセスを生徒と教師が共に3F(フラット・フリー・フレンドシップ)な雰囲気で行うものはほとんどありません。それを同センターの先生方は生徒と共にやってのけました。

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★なぜできたのか?それは、生徒と教師の学びのベースは普段の授業です。その普段の授業が同センターの先生方は参加型授業だし、かつ広い視野を生徒と共有する仕組みを作っています。多くの場合、PBLやIBLの授業ですから、今回のWSそのままという感じです。普段の授業が上記の図の3F雰囲気であるというのは、日本の教育の世界ではまだまだレアケースです。

★一見参加型授業でも誘導的で、結果的に型に収まる学びだったり、広い視野を持ち込む授業でも一方通行型授業だと、おもしろいのですが、その先生のトークに憧れてしまいます。心地よい授業ですが、そこに自分の学びの座標軸が生まれる可能性は高くないのです。

★受験生や保護者は、それを見抜く心の目をこれからは学んでいく必要があります。

★学校改革を強く主張する学校は、たしかに素晴らしいのですが、それが誘導的だったり、憧憬的だったりする場合、入ってから子どもたちは何かが違うと思えばまだよいのですが、何も気づかず、そのまま社会に出て、多様な改革の次元がある中で、一握りのアイデアだけで様々なコンフリクトに出合います。そのコンフリクトを自分が創る場合もあります。

★6年間はハッピーでも、その後はどうなるかわかりません。

★いかなる局面でも広い視野で3Fの精神で乗り切る学びの座標軸が育つ環境を探そうということですね。そして、3Fと重なりますが、やはりタレントとテクノロジーとトレランス(寛容)の3Tのスキルも重要です。

★同センターのWSは、デジタルあり、付箋紙あり、何より対話ありで、3Fマインドと3Tスキルが自由自在に闊達に展開していました。

★どうしたらそのような環境があるのがわかるのか?それは教師をみればわかります。ハラスメントを起こさない配慮の行き届いた教師なのか、自分自身ハラスメントを引き起こしていることに気づかない教師なのか。学校説明会に行けばすぐにわかります。

★そのためにも、ハラスメントリスクを回避する感性を大事にしましょう。

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2025年2月16日 (日)

2026中学入試準備(11)生徒と共にワークショップを創る 21世紀型教育機構

本日21世紀型教育機構は、和洋九段女子のフューチャールームで、22世紀型教育研究センターによる「問い生成のWS」を行います。生徒と教師が共にコラボして、問いの問いである良い問いをつくる条件や仮説を立てて、実際に創ってコンテスト形式で、問いの意味や価値を生みだしていきます。今、同センターの先生方が最終打ち合わせをして、環境を整えています。

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★同センターの先生方は、ご自身でもPBL型授業やIBL授業の達人で、学校全体と地域、海外、企業、大学を巻き込んだプロジェクトを学内の先生方とプロデュースしている先生方です。

★そのビジョン、パッション、ミッション、イノベーションを生徒と共有して、生徒自身が自らプロジェクトをプロデュースする対話型組織を生み出せるように、こうして共にWSを創っているのです。

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★対話型組織の生まれ出ずる泉は良い問いの生成だというのが、先生方のコンセプトです。今回の動きは小さなトリムタブですが、おそらく生徒の中にダイナミックな知恵のトルネードが世の中に影響を与えていくでしょう。当然私立学校の躍動にも。実施後、またお知らせします。

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2025年2月15日 (土)

2026中学入試準備(10)富士見丘の突出型グローバル教育 チームワークと自分の言葉としての英語へ

★富士見丘は、中学受験業界で、英語教育型グローバル教育ではなく突出型グローバル教育をデザインし、子供の知性を育てる独自の教育が大いに支持されています。今年の中学入試においても、2024年比で出願数は125.2%、2023年比では181.3%と大幅な増加(首都圏模試センター調べ)を見せています。昨日2月14日、その突出型グローバル教育のある意味集大成の成果を発表する行事「2024年度WWL課題研究発表会」が行われました。在校生、保護者だけではく教育行政関係者も見学しにきているほど充実しています。文部科学省にとっては良質のグローバル教育ロールモデル校です。

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★というのも、富士見丘は、文部科学省が支援している「WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム」を構築する拠点校として、この突出型グローバル教育を実施しているからです。この事業は、高校と国内外の大学、企業、国際機関が協力し、高校生に高度な学びを提供する仕組みを作り上げるためのコンソーシアム構築が目的です。

★ですから、鹿児島県の池田高校とも連携しています。池田高校はSSH認定校です。富士見丘はもともSGH認定校です。したがって、WWLコンソーシアムの1つの目的でもある文理融合的探究活動のプロジェクトデザインも実施しているのです。毎回、このWWL課題研究発表会では、池田高校のサイエンスチームも成果発表をします。今回も鹿児島から参加していました。

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★また、WWLコンソーシアムの事業の一環として多くの高大連携によるプロジェクトを実施しています。今回の行事が行われたメインアリーナのロビーでは、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の准教授(今回の審査員の1人でもある)とその研究生・留学生が英語でグローバルな探究プログラムとして高1で行っているグローバルワークショップの成果をポスターセッション空間にしていました。

★開演前は、見学者がたくさんポスターセッションに参加していました。まるで知の序曲の演出で、すてきでした。

★今回は高2のグローバルスタディー演習課題研究の2グループの発表でした。1つ目のグループは、マレーシアフィールドワークチームが6チーム発表しました。2つ目のグループは、グアムフィールドワークチームです。5チームが発表しました。

★いずれも、年間通じてのプロジェクトです。もう10年続いています。実はこの発表会は、コンテスト方式でオーディエンスである在校生も投票します。ですから長時間の会ですが、みな真剣に耳を傾けています。先輩の知の勇姿を観ることは、大きなロールモデルエフェクトを生み出します。それが10年間続き進化してきた理由の1つでしょう。

★6分間の短いプレゼンですが、1年間のリサーチ、インタビュー、データ分析、ワークショップ企画、ソリューション提案など議論をしながら・富士見丘の先生や大学の先生、現地の先生方との協力を得ながら・チームワークを充実させていきながら(もちろんその過程は紆余曲折というグループダイナミクスがあったでしょう)の試行錯誤・創意工夫の跡が刻まれていました。もちろん、このプロセスはすべて英語で行っているのです。

★教育行政関係の方々は驚愕でした。目の前の景色は、日本の学校なのか!と。吉田晋校長は、外国の優れた教育を学ぶのは当然ですが、そこから外国の学校もなかなかできなくて困っている教育の根本問題を解決するチャレンジは、私たちがしていかなければと。それが生徒と共に私たちが社会に・世界に貢献することではないかと語りかけているのです。吉田晋先生の哲学は、高みから見ているだけの思想ではありません。実践の中から本物教育を組み立てている実存的哲学そのものです。

★発表会の具体的な内容はとても語り尽くせないので、またいずれYoutubeなどで、先生方と対話してお知らせしたいと思います。

★今回驚き感動したことを一つ書いておきたいと思います。それは会が終わったときに副校長の吉田成利先生から少しお話が聞けたその内容です。成利先生は、「今回チームづくりができことが大きかったですね。そして何よりうちの生徒は英語を自分のことばとして語れるようになったことが嬉しいです」と。

★チームをつくるにしても、ことばを自分のものとして語るにしても、生きる座標軸が自分の内側にしっかり生成されていなければ、それはできません。たしかに、日本とマレーシアやグアムの文化の違いを超えて共に多様な問題を解決していこうとするには意志がしっかりとしていなければならないでしょう。それが学内外の多くの知性と英語で語り合うことで、自らの中に生み出していく教育。富士見丘の突出型グローバル教育とは、本物の人間教育をしているという意味が含まれていたのです。感銘を受けました。

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2025年2月14日 (金)

2026中学入試準備(09)CCSからOOEへ 時代の精神

★昨日、平方邦行先生(東京私学教育研究所所長/一般財団法人日本私学教育研究所所長)と時代の精神を改めて読み直す対話をしていて、昨日紹介した図をさらに変えなければと気づきました。ですから次のようにしました。

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★2015年ころにケインズの「孫たちの経済的可能性」という論文が話題になっていました。世界恐慌の最中の1930年に100年後の2030年を予想した論文です。その2015年の識者はAI社会の到来がケインズの夢を実現するかどうか議論していたのです。ケインズは、すでに今でいう地政学的リスクや気候変動リスク、ハラスメントリスクのない平和な世界をつくれば、1日3時間労働で豊かな生活が送れるようになるし、孫のためにそうしなくてはと考えていたようです。

★その予想が当たるかどうかというより、21世紀型教育を提唱し推進している私たちは、この考えに共感してきたわけです。

★2024年春にIMFが同じようなことを言ったり、ケンブリッジのキングズカレッジ(ケインズの母校)でもそんな議論をしていたので、やはり今もケインズのコンセプトは不易なのだと。

★ハラスメントリスクを回避するということは、階層構造による経済的・心理的・人間関係的等々によって引き起こされる格差の抑圧をなくすことで、それによって創造性を開放することにつながります。IMFは人的資本という言葉を使いますが、私立学校は、それも当然含みながらケインズも言っているように、経済や学歴はAI社会では欲求の対象ではなくなるので、もっと本来的な人間とは何かに行き着くだろうと。

★そんなわけで、CCS(Class Confict Structure)はOOE(Only One Earth)を目指すCreative Classに地球市民全員がなるという人づくりをするのが私立学校だとしてはどうかなと対話していたのです。

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2025年2月13日 (木)

2026中学入試準備(08)MiddleからCreativeへ ようやく

★いろいろな国で、Class Warが起きています。しかし、このWarはどの階層が勝利するのかという話ではありません。従来のClassの概念というかコンセプトが変容するよということなのです。オバマ大統領が中間層の経済政策や教育政策に力を注いだり、トランプ大統領が労働者階級に力を入れる(のかどうか本当はわかりませんが)とか、言われていますが、イギリスでも日本でも同じような政策協議が行われています。しかし、これは近代社会が生まれてからずっと行われてきたことで、その過程で生まれる悲劇が収まることはなさそうです。それで、オードリータンさんとその仲間たちが、この階層構造とは違うコンセプトをじわじわと広めています。

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★それはMiddle Classではなく、みんながCreative classになればよいというコンセプトです。中流階級とか中間層とかいう言葉は、社会学や経済学で使われてきて、その概念の枠の中で、産業政策が行われ、それをメディアが報道していますから、当然です。しかし、それだと、その階層構造そのものが変わりはませんよね。

★大学入試や高校入試もその枠組みの中で行われています。だから公平と平等と自由のClass Warが永遠続きます。続いた方が得する階層があるからです。

★さて、それを誰も困らないように変容していこうというのが、みんがCreative Classになろうよということですね。これは21世紀に入って、リチャード・フロリダが唱えたコンセプトです。そしてそれがグレートリセットを生み出すのだと。

★しかし、これはAIのようなイノベーション革命で世の中は終わらせ、リチャード・フロリダの真意を押さえつけてしまいました。しかし、落合陽一さんや安野貴博さんは、このクリエイティブ・クラスを継承しています。お二人は開成出身者ですね。

★開成出身者が自ら頂点に立てる階層構造をリセットするというのだから実に興味深いですね。

★いずれにしても、中学入試が才能創出入試に変容してきたのは、このみんなクリエイティブクラスになろうよというトリムタブの動きなのです。

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2025年2月12日 (水)

2026中学入試準備(07)東京都 本来の人間とは何かをどうとらえるか議論が進み始めている

★第6期東京都いじめ問題対策連絡協議会(第1回)に参加してしみじみ感じたことは、これほど多くの関係者が、いじめを防止しようという対策を実践しているということに改めて日本の未来はなんとかなるのではないかということです。いじめ問題だけなく、子供の周りには多くの問題があるし、しばしば子供自身問題に巻き込まれます。その問題ごとにこのような政策を都は議論し実施しているのです。

★また、同協議会では、令和5年に都が主催した高校生いじめ防止協議会 議事録が紹介されたが、高校生の声は全くその通りだと思いました。

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★いじめの問題が起こる構造的な認識は、3つの層で語られていました。法的制度という環境の整備がどうなっているか?そしてその効果はどの程度なのか?それから人間関係がどのように形成され、それが阻害されるのかの構造の議論。3つめは子供のマインドの状況、たとえば、自己肯定感が低い状況はどのような構造があるからなのか?それぞれの委員の置かれた仕事のミッションから真摯に語られました。予定された時間を超えた熱い協議会でした。

★これは、いじめの問題だけはなく、多くの問題にも適用可能な議論でした。法的制度と人間関係が拘束力や同調圧力の強さの加減で、いろいろな問題が起こるがゆえに、法的制度や人間関係、そして個人のマインドのそれぞれの価値観を変容させていこうという議論であったからです。

★同協議会が終わった後、何人かの委員の方と立ち話をしましたが、やはりこれらの諸関係の法制度と社会の習慣などと子供の主観的なマインドの矛盾はいかにしたら解決できるのかみな同じ悩みを抱えていました。

★個人はたしかに、物理量としては、大きな制度や習慣の中の点ですが、本来は、制度や習慣は子供の無限の価値を生みだすシステムであるはずです。経済学や法律学、社会学、心理学、生命科学、文化人類学、教育学など多様な学問で、今人類の永遠の問い「本来の人間はいかにして可能か?」に立ち臨んでいますが、それは東京都及び関係する機関もまた同じでした。

★そして、これは東京都ばかりではなく、各自治体でも行っていることでしょう。価値観の転換へ!とすぐには飛躍はできないでしょうが、じわじわ変容はしていると感じました。高校生が、授業のあり方を議論や話し合いができる仕組みにすることを提案していました。これは授業だけはなく、あらゆる集団組織にも適用できます。

★「対話型組織作り」と「対話思考」のフュージョンが生まれつつあります。

★一見遠い話のように思うかもしれませんが、中学入試というのも制度です。新タイプ入試が、この対話思考を開いていることの重要な意味があるということもこのような変容とシンクロしているなと改めて感じました。

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2025年2月11日 (火)

2026中学入試準備(06)知られざる工学院と聖学院の思考力セミナーものすごいバックボーン

★中学入試の新タイプ入試の対策として、工学院と聖学院は思考力セミナーを年に何度も行っています。新タイプ入試は生徒獲得のためのもちろん入試ですが、才能発掘入試として重要な役割を演じています。そして、その対策は塾ではなかなかできないため、学校が独自で開催しています。その中で、両校の思考力入試は傑出していますが、そのバックボーンが学際的でグローバルであることは知られていません。ディズニーランドのようにバックヤードツアーがあるわけではないのでわからないのは当然です。

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★それに見たとしても、なぜ中学入試でそこまでやるのかと、難しすぎると表現ができずに諦めてしまうケースが多いでしょう。だから、この内容を話しても、なかなか日本では興味と関心を持つ人はいないのです。もしこれが欧米のエスタブリッシュスクールならみなピンと来るはずです。

★ですから、両校はタンタンと新タイプ入試を行っています。工学院は、毎回すべてが新タイプ入試になっていて、それに気づかない程自然に行っています。バックボーンが凄いことは目立たないようにひっそりと。

★聖学院は、3タイプの思考力入試を行っているのは有名ですが、こちらもバックボーンについて語ることはありません。本質的なことは伝わりにくいし、難しく思われるのは本意ではないからでしょう。

★この両校のバックボーンは、上記の図のようになっている要素が循環して一つになっているThinkingXができる教師チームが創っています。彼らは、普段の授業でこのThinkingXを生徒とさりげなく共有してもいるのです。すばらしいですね!

★さらにすごいのは、この思考力セミナーのプログラムを企画運営している教師は、外国人教師ではなく、日本人教師です。彼らは英語が堪能なのです。英語の教員というよりは社会学の専門家だったり、心理学や学習理論の専門家だったり、数学の教師だったりするのです。彼ら3人は英語の力が外国人教師と何ら変わりません。

★ThinkingXというのは、explore × exchange × expressという3Xをフル回転させながら、トランスフォームシンキングをして、学際的な広がりと深さを追究していく思考法です。このThinkingXをアナログなAIエージェントを作りながらそれを活用しながら行っていく計画を立てています。新しいものを見出すというより、今まで行ってきたことを見える化するということですが、その過程でさらにイノベーションが起こるでしょう。

★上記の図を見て、これが日本の学習指導要領では到達できないコンセプトベースな学びを創り出す発想法だということが分かると思います。突出したグローバル教育とは、日本型の教育とコンセプトベースな学びが融合するところにあります。日本型教育とは「道」の教育ですが、これがあることによってGAFAMなどからリスペクトされるわけです。そして、それとコンセプトベースな学びが融合することで世界をリードするグローバル教育を実践できるのです。本質的学びと生徒獲得の融合。まさに渋沢栄一の論語と算盤という私学の心意気に通じる先生方がいるわけです。日本の未来はなんとかなるでしょう。

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