これからの大学と高校をつなぐ学びのOS 凍てついた思考の壁を溶かす
★縁あって、一般社団法人 高等教育計画経営研究所セミナー「高校生・社会とをつなぐ、つながる――大学発信コンテンツの深化とメディア戦略」の登壇者の一人としてスピーチをすることになりました。高校側も新しい大学の動向をあまりしらない可能性があるし、大学側も高校の新しい動向をあまりしらない可能性があります。というのも、大手メディアの扱う情報は、高校や大学全体を見渡すものではなく、むしろ偏っている場合が少なくないからです。学歴社会の構造の中で編集されているので、当然です。それでなければ今までは売れなかったからということもあります。
★一方で、その霧を晴らす努力がもしかしたら、多くの大学でなされてこなかった、むしろその霧を受け入れていたのかもしれません。ところが、その霧を晴らす動きをする大学(私の幾人かの知人がそれぞれ3つの大学で教えているというかマネジメントしているのですが、いずれも中高の現場で活躍していた先生方です)が現れてきてもいます。その霧に飲み込まれて閉じてしまった大学もあればそうでない大学もあります。そんなことを思いながら、次のようなコンセプトに基づいて、これからの高校と大学のマッチングのメカニズムや構造について、拙いのですが情報分析をしながら話をさせていただこうと思っています。
★次のコンセプトをGoogleNotebookLMで表現しました。次の文章とぴったり一致はしませんが、わかりやすいことはわかりやすいです。さて、コンセプトは次の通りです。
近年、偏差値が高くなくても、定員を安定して満たしている大学が現れています。これらの大学に共通しているのが、教養教育やリベラルアーツ、哲学的思考を重視する姿勢です。これは単なる付加価値づくりではなく、AI時代における「価値ある学び」の構造変化を敏感に捉えた結果だと言えます。
まず、従来の「知識を組み合わせて答えを出す思考」は急速に陳腐化しています。かつてはAとBの知識を論理的に結びつける力が評価されていましたが、この領域は今やAIが最も得意とする部分です。過去の事例を調べて整理し、定型的なロジックでまとめる作業はAIが代替できます。人間に残る価値は、AIが提示した複数の選択肢の中から、最適で倫理的な判断を下す力へと移行しています。
また、学校教育が重視してきた「正解に速く到達する思考」も価値を失いつつあります。検索技術やAIの発達により、正解を効率よく見つけるだけの力は差別化になりません。むしろ重要なのは、「そもそも何が問題なのか」を定義する力、つまり問いを立てる思考です。しかし、問いを立てる力そのものも、個人の中に閉じていれば陳腐化します。
そこで重要になるのが、互いの問いをぶつけ合い、新たな視点を生み出す「対話の組織力」です。対話には、変化への恐れやプライドといった“凍てついた壁”を溶かす力があります。人は本来、変わることに抵抗しがちですが、他者との対話を通じて自分の前提が揺さぶられ、思考の硬直がほぐれていきます。この「溶解のプロセス」こそが、対話のイノベーションの核心です。固定化した思考が溶けることで、新しい問いが生まれ、創造性が解き放たれます。もっともこの「溶解のプロセス」は並大抵のものではなくて、経験上3年くらいかかります。全く溶けないこともあり、諦めてしまうこともたびたびです。
しかし、この対話というメタOSは、ビジネスやマーケティング、研究の現場で直接的な価値を生み出します。何度もチャレンジしたくなるものです。顧客の潜在ニーズを発見するマーケティングは「問いの再定義」そのものであり、研究開発は「異なる視点の衝突」からイノベーションが生まれます。つまり、対話を通じて新しい問いを生み出す力は、そのまま価値創造の源泉になるのです。魅力があるのです!
大学が本当に提供すべき価値は、このメタOSを学生自身がアップデートし続けられる学び方を見つけ出せる環境づくりにあります。プログラムはその一部に過ぎず、学生が自ら学びの構造をデザインできるような組織文化こそが問われています。
さらに、このような学びはすでに中高段階で始まっています。海外大学への進学実績が高い中高では、探究学習や対話型授業を通じて、問いを立て合い、互いの思考を溶かし合う文化が育っています。こうした生徒たちは、大学にも同じレベルの対話的学習環境を求めます。そのため、大学側がメタOSを育てる学びの環境を整えれば、中高と大学の間に新たなマッチングが生まれ、偏差値に依存しない魅力が形成されていくのです。というより、結果的に両者の偏差値は上がってしまいます。
それはともかく、技術が進化し手段が溢れる時代だからこそ、「私たちは何のためにそれを使うのか」という本質的な思考と、それを他者と共に磨き続ける対話のイノベーション力が求められています。教養・哲学を重視する大学が今後ますます支持されるようになるでしょう。
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